バーバリー（Burberry）、第1四半期の既存店売上は1％減：前年−21％から大幅回復

7月18日（現地時間）、英国のラグジュリーブランドの「バーバリー（Burberry）」は、2026年度第1四半期（2025年4月〜6月）決算を発表し、ブランド再建に向けた初期の成果が現れ始めたことを報告した。前年同期比で1％減となった既存店売上高は、前年の同期間に記録した21％減から大幅に改善しており、各地域で回復の兆しが見られる。

小売売上高は報告ベースで6％減の4億3,300万ポンド。恒常為替レートベースでは2％の減少にとどまり、為替変動の悪影響を受ける中でも着実な進展を示した。なお、店舗面積は前年同期比で1％減少している。

地域別に見ると、EMEIA（欧州・中東・インド・アフリカ）地域では、地元消費の増加が観光支出の減少を相殺し、既存店売上高は1％増を記録。アメリカ市場では新規顧客層の獲得が奏功し、同4％増と好調である。一方で、グレーターチャイナ（中国本土、香港、マカオ、台湾）では5％減となり、中国本土単体では4％のマイナス。アジア太平洋地域全体も4％減で、日本市場の低迷が韓国市場の堅調さで一部相殺された格好だ。

バーバリーはこの四半期、ブランド価値向上に向けたさまざまな取り組みを行っている。英国の夏の伝統を祝うキャンペーン「ハイサマー（High Summer）」「ハイグローブ（Highgrove）」「フェスティバル（Festival）」などを通じて、ブランドのストーリーテリングを強化。また、“Burberry Forward”戦略の下で初の展開となる2025年秋コレクションは、象徴的なブランドコードを再構成し、商品点数を絞り込むことで、多様なラグジュアリー顧客層に訴求している。

実店舗では商品密度を高めるための什器を導入し、スカーフバーのテスト展開も成果を上げた。オンライン販売は3四半期連続で成長しており、商品構成の強化と一貫したビジュアル表現が寄与した形だ。カテゴリー別では、チェック柄トリミング付きの軽量ジャケットがヒット商品となり、長靴やプールスライドなどフットウェアでも好反応が得られているという。

また、経営面では、年間8,000万ポンドのコスト削減目標に向けたプログラムが順調に進んでおり、人員の約20％（約1,700人）削減を含む構造改革が進行中である。CEOのジョシュア・シュルマン（Joshua Schulman）は、1年前の就任時点と比較した進捗について次のように述べている。

「この1年で、私たちは事業の安定化から、“Burberry Forward”戦略の推進へと自信を持って舵を切ってきました。第1四半期の既存店売上の改善、主力カテゴリーの強化、ブランドの魅力度の向上が、今後の進むべき道への確信を与えてくれています。2025年秋コレクションは店舗に並び始めた段階で、幅広いラグジュアリー顧客から好評を得ています。外部環境は依然として厳しく、私たちの変革もまだ初期段階にありますが、すでに見え始めた初期の成果に勇気づけられています。」

さらに、アメリカ市場では、高額顧客向けにはロサンゼルスのフラミンゴ・エステートを舞台にした特別イベントを実施する一方、一般顧客層にはモールでのDJセットなどを活用したフェスティバルキャンペーンを展開するなど、二層戦略を導入。より幅広いラグジュアリー層へのアプローチを実現している。

だが、こうした中で、売上全体の約3割を占める中国市場では、依然として厳しい状況が続いている。第1四半期においては、グレーターチャイナ全体で5％の減少、中国本土単体では4％の減少を記録。バーバリーは同地域においても、ブランドの魅力度向上や商品構成の最適化を通じて購買率（コンバージョン）の改善を図るなど、回復に向けた施策を継続している。今後も重要市場として、戦略的な取り組みが続けられる見通しだ。

経営体制も刷新が進む。アジア太平洋のクラウディア・キム（Claudia Kim）、EMEIAのフランク・ファン・ルーン（Frank van Loon）、グレーターチャイナのジョシー・チャン（Josie Zhang）、アメリカのローラ・デュビン・ワンダー（Laura Dubin-Wander）の4人が執行委員会に新たに加わり、戦略とオペレーションの意思決定に参画することとなった。また、最高商業責任者（CCO）のポジションは廃止され、各地域社長が直接シュルマンの直属となっている。

なお、2026年度上期（～2025年9月27日まで）の中間決算は、2025年11月13日（木）に発表される予定である。