7月22日(現地時間)、プライベート・エクイティ大手のTSGコンシューマー(TSG Consumer)は、急成長中のフレグランスブランド「フルール(PHLUR)」の買収に関する最終合意を発表した。感情に訴えるストーリーテリングと、洗練された香りの表現で注目を集めてきた同ブランドは、今回の取引を機にさらなる成長フェーズへと移行する。
今回の買収後も、ブランドの再始動を主導してきたインフルエンサーのクリッセル・リム(Chriselle Lim)が、引き続きクリエイティブ・ディレクターおよび出資者として関与する。また、2021年からフルールを支援してきたビューティーアクセラレーター、ザ・センター(The Center)も継続的に関与し、ブランドの成長を後押しする。一方で、これまで出資していたプレリュード・グロース・パートナーズ(Prelude Growth Partners)は今回の取引をもって投資から撤退する。
フルールは2015年に誕生。2021年、クリッセル・リムがベン・ベネット(Ben Bennett)率いるザ・センターとともにブランドを買収・再始動し、再定義された世界観と商品展開によって若年層を中心に支持を広げてきた。
代表的な製品には「バニラ スキン」「ヘビー クリーム」「ミッシング パーソン」などがあり、セフォラ(Sephora)、アマゾン(Amazon)、スペース NK(Space NK)といった主要リテーラーに加え、自社ECでも展開。パーソナルで感性的な香りの体験を提案し、多くのファンの共感を集めている。
クリッセル・リム自身は2児の母であり、アジア系アメリカ人としてのバックグラウンドや離婚、整形といった自身の経験をオープンに語ることで女性たちから共感を呼び、リアリティと品のある美意識を兼ね備えた発信で、多くの支持を集めてきた。彼女がもたらしたブランドの世界観は、単なる香水ブランドにとどまらない“ライフスタイルの表現”として、多くのファンに浸透している。

今回の買収についてリムは、「私たちは、香りが非常に個人的な自己表現の手段であると常に信じてきました。私たちのコミュニティは、透明性、創造性、そして感情的なつながりを大切にしています。TSGコンシューマーもこれらの価値を共有しており、次のステージに向けて彼らとパートナーを組めることにとてもワクワクしています」と述べている。
CEOのエリザベス・アシュマン(Elizabeth Ashmun)も、「TSGコンシューマーは、ブランドの成長や美容業界に対する深い理解を有しており、理想的なパートナーです。私たちの可能性をいち早く信じてくれたザ・センターおよびプレリュード・グロース・パートナーズに感謝しつつ、フルールの独自の創造性を守りながら、さらなる市場拡大を目指していきます」と、今後の成長に期待を寄せる。
また、TSGコンシューマーのシニア・マネージング・ディレクターのハドリー・マリン(Hadley Mullin)は「フルールは、その本物志向、感情に訴えるストーリーテリング、そして現代的な香りの創造によって、急成長中のフレグランス市場で際立った存在です。私たちは、ブランドの創造的ビジョンと感情的共鳴を保ちながら、地理的・製品的な拡張を支援していくことに大きな期待を寄せています」とコメントしている。
なお、取引の金額は非公開であり、通常のクロージング条件および規制当局の承認をもって完了となる予定だ。
Copyright © 2025 Oui Speak Fashion. All rights reserved.