ファッション界の象徴的存在であるアナ・ウィンター(Anna Wintour)が、アメリカ版『VOGUE』の編集長職を退いたことで、その後任をめぐる憶測が業界内外で広がりを見せている。中でも有力候補として注目を集めているのが、メタ社(Meta Platforms, Inc)でファッション・パートナーシップ部門を率いるエヴァ・チェン(Eva Chen)だ。
現在45歳のチェンは、インスタグラムのファッション・パートナーシップディレクターとして活躍する傍ら、児童書の著者としても知られている。キャリアの原点は出版業界にあり、『Teen Vogue』や『Lucky』などで編集者としてのキャリアを築いてきた。紙媒体での編集力とトレンドセンスを持ち合わせた彼女は、テクノロジー業界に身を移した後も一貫してファッションとの接点を保ち続けており、デジタルとコンテンツ、ビジネスを横断するその経験は、いまの時代において非常に価値ある資質といえる。
パック(Puck)のジャーナリストであるローレン・シャーマン(Lauren Sherman)は、エヴァ・チェンを「世界でウィンターの後任にふさわしいとされる、ごくわずかな人物のひとり」と表現。編集経験だけでなく、ブランドとの深いコネクション、ファンドレイジングの実力、そしてインフルエンサー的な知名度も兼ね備えており、コンデナストという伝統的メディアの刷新において強力なカードとなる可能性が高いとしている。
もちろん、チェン以外にも有力な候補は存在する。『W』誌編集長のサラ・ムーンベス(Sara Moonves)、イギリス版『VOGUE』で編集トップを務めてきたチオマ・ナナディ(Chioma Nnadi)、さらには『VOGUE』の編集スタッフでもあるクロエ・マレ(Chloe Malle)の名も挙がっており、今後の発表が注目される。
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