ヒューゴ ボス(Hugo Boss)、第2四半期は堅調、ベッカム効果でBOSSメンズが5%増

HUGO BOSS

8月5日(現地時間)、ドイツ発のファッションブランド「ヒューゴ ボス(HUGO BOSS)」は2025年第2四半期の決算で、報告売上高は10億1,500万ユーロ、為替調整後では前年比1%の増加と、小幅ながらも成長を維持したことを発表した。2025年上半期全体では、売上高は20億ユーロで、通貨調整後では前年並みとなった。

中核のBOSSメンズが5%成長

第2四半期の成長をけん引したのは、ブランドの中核である「BOSS メンズウェア」である。2025年春夏シーズンには、デビッド・ベッカムとの初の共同コレクション「BECKHAM x BOSS」を発表し、大きな話題を集めた。このコレクションの成功も後押しとなり、BOSSメンズの売上は前年同期比で5%増の8億800万ユーロに達し、グループ全体の売上の約8割を占める主力カテゴリーとして存在感を示した。これに対し、「BOSS ウィメンズウェア」は8%減の6,200万ユーロ、「HUGO」は12%減の1億3,200万ユーロと苦戦が続いている。

ヒューゴ ボスはこの状況について、「現在の厳しい市場環境において、我々はBOSS メンズウェアのさらなる強化に注力しており、それは成功した」と公式声明で語っている。さらに、「BOSSウィメンズウェアおよびHUGOは“移行期間”にあり、カテゴリーの再定義や製品構成の見直し、顧客ニーズの再評価を進めている」とし、今後の立て直しに意欲を見せた。

地域別ではEMEAが3%増、中国の不調がアジアを押し下げ

地域別では、EMEA(ヨーロッパ・中東・アフリカ)地域が通貨調整後で3%増となる6億1,800万ユーロを記録。中でもドイツとフランスが好調で、イギリスのわずかな減少を補った。

アメリカ地域では通貨調整後で2%増となったが、報告ベースでは6%減少している。これは為替の影響によるもので、特に北米のショッピングモールやアウトレットでの来店数が一時的に落ち込んだことが影響したとされる。ただし、同社によればコレクションの販売は好調で、値引きを抑えた販売戦略も奏功した。

アジア太平洋地域は、中国市場の低迷により通貨調整後で5%減、報告ベースで6%減と苦戦した。特に中国本土における消費者心理の冷え込みが業績に大きく影響している。

コスト管理で利益改善、EBITは15%増の8,100万ユーロ

収益性の面では明るい兆しも見られた。EBIT(利払い・税引前利益)は15%増の8,100万ユーロと、前年同期比で大きく回復。前年の同四半期では42%の減益だったため、改善の幅は顕著である。EBITマージンも8.1%に拡大した。

同社は、事業運営において店舗改装などの投資を抑制する一方で、固定費の管理とコスト効率の追求を進め、収益性の改善につなげた。

関税対策と価格戦略、2025年後半は慎重な価格改定へ

ヒューゴ ボスは、2025年通期の見通しを据え置き、売上高は–2%から+2%の範囲、金額にして42億〜44億ユーロ、EBITは3億8,000万〜4億4,000万ユーロ、最大で前年比22%の増加を見込んでいる。

米国政府による欧州製品への15%関税に対しては、影響を最小限に抑える備えが整っており、アメリカ向け製品の多くをポルトガル、トルコ、イタリアなど関税の影響を受けにくい地域で生産しているという。また同社は、2026年春夏コレクション以降、グローバルに小〜中幅の価格改定を予定しており、米国市場に限らず広範な価格戦略の見直しを進めていく方針だ。

最高経営責任者(CEO)のダニエル・グリーダー(Daniel Grieder)は、「2025年第2四半期は、引き続きマクロ経済と業界の厳しい環境下にありました。世界的に消費者信頼感は低水準にとどまる中、私たちはトップライン(売上)・ボトムライン(利益)の両面で着実な改善を実現しました。これは、持続可能なコスト管理と効率性の向上による成果です」とコメントした。

また、「4月に発表した『ベッカム×ボス』の成功は、こうした戦略が厳しい状況でもブランドの勢いを保てることを示しています」と述べたうえで、「今後も、グローバルなブランド価値の強化と顧客ロイヤルティの構築を通じて、持続的で収益性の高い成長を実現し、株主の皆様に長期的な価値を提供してまいります」と語った。

Copyright © 2025 Oui Speak Fashion. All rights reserved.