オーデマ ピゲ(Audemars Piguet)、インホテック社の過半数株式を取得でサプライチェーンを強化

Audemars Piguet

スイスの高級時計ブランド、オーデマ ピゲ(Audemars Piguet)は2025年8月、スイス時計製造産業のエコシステムを維持・強化し、自社の産業的独立性を確保する目的で、インホテック社(INHOTEC SA)の過半数株式を取得した。

インホテック社は、マイクロメカニクス分野における卓越した技術と精密加工の専門知識で知られ、長年にわたりオーデマ ピゲの信頼できるサプライヤーとして協力関係を築いてきた。この出資は、両社の良好な関係と共通する長期的な産業ビジョンを基盤とし、スイス時計産業における同社の地位強化と長期的発展を後押しするものだ。

インホテック社創業者兼CEOのアレクサンドル・エメ(Alexandre Eme)は、重要な少数株主としての立場を保持し、CEO兼取締役会長として企業の成長と長期的ビジョンの実現に向けて引き続き主導的な役割を果たす。

インホテック社は、今後も独立した企業として現在の社名で事業を継続し、既存および将来のポートフォリオ内すべての時計ブランドにサービスを提供する。オーデマ ピゲは、戦略的および財務的な支援を行うが、インホテック社の経営判断や産業活動、取引関係は同社の経営陣が引き続き責任を持つ。これにより、インホテック社は既存および将来の全顧客に対して独立した立場でサービスを提供し続けることが可能となる。

エメは、今回の合意について「このパートナーシップは、インホテック社の歴史における重要な節目となります。オーデマ ピゲによる投資は、私たちのチーム、専門知識、そして長期的な可能性への強い信頼の表れです。力を合わせることで、インホテックが引き続き革新を続け、時計産業全体に貢献できる条件が整います」とコメント。

また、オーデマ ピゲのチーフ インダストリアル オフィサー、ルカス・ラッジ(Lucas Raggi)は、「この投資は、スイス高級時計製造における卓越性に貢献する精密技術の未来を確保することを目的としています」と述べ、「インホテック社の継続的な成功を支援するとともに、時計産業のエコシステム全体に活力をもたらす取り組みに貢献できることを、私たちは誇りに思っています」と続けた。

なお、今回の買収は、近年スイス時計産業が直面している中国市場の需要減少や米国市場での関税引き上げなどの課題に対する戦略的対応の一環でもある。オーデマ ピゲは、創業1875年以来続く独立系家族経営のブランドとして、150年にわたり築き上げた技術とネットワークを活かしながら、自社のみならず業界全体の持続的発展を視野に入れた動きを加速させている。

Copyright © 2025 Oui Speak Fashion. All rights reserved.