8月14日(現地時間)、ニューヨークを拠点とするグローバル企業「タペストリー社(Tapestry, Inc.)」は、2025年度第4四半期および通期決算において、主力ブランド「コーチ(Coach)」の好調な伸びが業績を押し上げ、通期売上は過去最高となる70億ドルに達したことを報告した。だが一方で、「ケイト スペード(Kate Spade)」の不振に伴う大規模な減損が純利益を圧迫した結果となった。
コーチが二桁成長、第4四半期は8%増収
同社の第4四半期の売上高は17億2,000万ドルと前年同期比8%増。中でも、コーチは14%増(恒常通貨ベースで13%増)と、業界平均を上回る勢いを示した。これは、商品の平均販売単価が上昇したことや、グローバルでの新規顧客獲得が成長を下支えした結果である。また通期でも、コーチは前年比10%増を記録し、全体の売上成長を主導した。
一方、ケイト スペードは第4四半期の売上が前年同期比で減少し、通期でも伸び悩んだ。特に2025年度中には、ブランド無形資産およびのれんに関して8億5,500万ドルの減損を計上。この費用は、関税や貿易政策の影響を含む将来キャッシュフローの減少見通しを反映したものであり、GAAPベースの純利益を大幅に押し下げた。結果として、第4四半期のGAAPベース純損失は5億1,700万ドルに達している。同社はケイト スペードについて、デザイン・商品戦略の見直しやブランドの価値提案の再定義を進めており、中長期的な成長ドライバーとして再び成長軌道に乗せる方針だ。
タペストリーの最高経営責任者であるジョアン・クレヴォイセラ(Joanne Crevoiserat)は、「当社のブランド構築における体系的なアプローチが世界中で新たな世代の消費者層を取り込むことに 成功し、2025年度は飛躍の年となりました」と声明でコメント。
「今後に向けても、スケールメリットを活かして提供するクリエイティビティーとクラフト マンシップ、そして魅力的な価値に、アジャイルなオペレーティングモデルを組み合わせることで、タペス トリー・インクは長期的な成長と株主価値の向上をバランス良く加速させていく位置づけにあります」と続けた。
2025年度通期では売上総利益率が75.4%と前年から210ベーシスポイント改善。非GAAPベースの調整後1株当たり利益は5.10ドルと、3年前に掲げた「1株当たり利益5ドル」の目標を達成した。株主還元では年間3億ドルの配当金と20億ドルの自社株買いを実施。取締役会は2026年度の配当を14%増額することを決定した。
2026年度の見通し
なお、タペストリーは2026年度の売上を約72億ドル弱と予想している。約1億6,000万ドルに相当する関税および諸税によるコスト増加を織り込みつつ、営業利益率とEPSの成長を維持する計画だ。為替のプラス影響や、コーチを中心としたブランド力強化策が業績を支える見込みである。
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