8月20日(現地時間)、エスティローダー・カンパニーズ(Estée Lauder Companies)は、2025年度(2024年7月〜2025年6月)の決算を発表した。売上高は前年の156億ドルから143億ドルへと8%減収となり、3年連続の減少となった。
粗利益は106億ドルと前年から縮小したが、粗利益率は74%まで上昇した。これは、在庫削減やサプライチェーンの最適化などによる業務効率化、そして高級ラインでの価格帯引き上げや割引販売の抑制といった価格戦略の見直しが功を奏した結果である。だが一方で、営業損益は7億8,500万ドルの赤字へ転落。調整後でも営業利益は11億4,600万ドルと、前年から28%減にとどまった。
一株当たり利益(EPS)はGAAPベースでマイナス3.15ドル、調整後は1.51ドル。前年の2.59ドルから42%の大幅減少であり、収益性の脆さがあらわとなった。
製品カテゴリー別では、スキンケアが12%減、メイクアップが5%減、ヘアケアが10%減という結果であった。唯一フレグランスが横ばいを保った。地域別では、アメリカが4%減、EMEA(欧州・中東・アフリカ)が12%減、アジア太平洋が7%減。特に中国や韓国の消費低迷、西欧の高級市場の失速が痛手となった。さらに、米中間の報復関税は2026年度に1億ドルの利益圧迫をもたらすと見込まれている。
2024年10月にCEO就任が発表され、2025年1月1日に就任したCEOに就任したステファン・ド・ラ・ファヴェリー(Stéphane de La Faverie)は、こうした結果について、声明で次のように述べている。
「2025年度を予定どおりに終えた今、私たちは“Beauty Reimagined(美の再創造)”という戦略ビジョンを着実に実行していくことに全力を注いでいます。外部環境の不安定さが続くなかでも、2026年度は手応えを感じながら順調にスタートを切ることができました。3年連続で売上が減少した状況を乗り越え、今年はオーガニック売上の成長を実現する見込みです。そして数年以内に、調整後営業利益率を二桁という確かな水準へ再構築していけると確信しています。」
なお、2026年度のオーガニック売上成長率は0〜3%、調整後EPSは1.90〜2.10ドルの見込み。アナリスト予想の2.21ドルには届かないが、営業利益率は9.4〜9.9%までの回復を狙う。
2025年度、同社は地域全体での売上不振と全カテゴリーに及ぶ低迷に直面し、加えて関税や消費者心理の冷え込みといった外部環境も重荷となった。それでも、在庫削減やコスト効率化を柱とする利益回復・成長計画(PRGP)を打ち出し、収益構造を立て直そうとする姿勢は明確である。
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