ヴァレンティノ(Valentino)、新CEOにリカルド・ベリーニを任命

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8月20日(現地時間)、イタリアを代表するラグジュアリーブランド、ヴァレンティノ(Valentino SpA)は、リカルド・ベリーニ(Riccardo Bellini)を新たな最高経営責任者(CEO)に任命したことを発表した。就任は9月1日付で発効する。これにより、8月13日付で退任したヤコポ・ヴェントゥリーニ(Jacopo Venturini)の後任が決定したことになる。

ベリーニは直近まで、ヴァレンティノやバルマン(Balmain)を傘下に持つカタールの投資ファンド、メイフーラ(Mayhoola for Investments)のマネージングディレクターを務めていた。しかし今回この役職は退任し、今後同ポジションは凍結される見込みだ。なお、メイフーラはヴァレンティノの株式70%を保有し、残りの30%はケリング(Kering SA)が握っている。

過去にはメゾン マルジェラ(Maison Margiela)のCEO(2017〜2019年)を務め、ジョン・ガリアーノ(John Galliano)と共にブランドの再構築に取り組み、売上を大きく拡大させた。その後クロエ(Chloé)のCEO(2019〜2023年)に就任し、ブランドの格上げ戦略を推進。ガブリエラ・ハースト(Gabriela Hearst)を起用してサステナビリティ戦略を前進させ、2021年には同社をB Corp認証取得に導いた。退任直前にはシェメナ・カマリ(Chemena Kamali)を後任デザイナーに迎え、ブランドの次なる章を支える布石を打った人物でもある。

今回の人事について、ヴァレンティノ会長のラシッド・モハメド・ラシッド(Rachid Mohamed Rachid)は声明で次のように述べている。

「リカルドの任命によって、私たちはヴァレンティノの成長軌道を加速させていく。彼の豊富なラグジュアリー業界での経験、戦略的な洞察力、実績あるリーダーシップ、そしてアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)の力強いクリエイティブ・ビジョンが合わさることで、メゾンを前進させ、その唯一無二のアイデンティティをさらに強めていくことだろう。」

また、ベリーニは「ヴァレンティノという、卓越した伝統とクラフツマンシップを独自のクリエイティブな声と融合させる象徴的なメゾンに加わることを大変光栄に思います」と述べ、「アレッサンドロ・ミケーレ、そして卓越したヴァレンティノのチームとともに、このメゾンの普遍的な価値を讃えながら、その新たな章を築いていきたいと思います」と語った。

ヴァレンティノは2024年、売上高13億1,000万ユーロ(前年比2%減)、EBITDAは2億4,600万ユーロ(前年比22%減)と厳しい決算を公表している。高級ファッション市場全体が減速するなかで、ベリーニはミケーレのクリエイティブを軸に再成長戦略を描き出さねばならない。2023年にケリングが30%の株式を取得しており、2028年までに残り70%を取得するオプションを持つことからも、その成果は今後のブランドの方向性に大きな影響を与える。

ラグジュアリー市場の不透明感が増すなか、ベリーニのリーダーシップとミケーレのクリエイションがどのようにヴァレンティノの未来を形づくるかが注目される。

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