ニューヨークのニューミュージアム(New Museum)が運営するカルチュラル・インキュベーター「ニュー インク(NEW INC)」が、2025年9月から2026年6月にかけて実施されるプログラムの第12期メンバーを発表した。今回選出されたのは、アート、デザイン、テクノロジー、アントレプレナーシップの交差点で活動する74の新たな個人や団体だ。
インキュベーターとしての役割
参加者は1年間のプログラムを通じて、ビジネス教育カリキュラム、メンタリング、そして一般公開の場で作品を発表する機会を得る。その集大成となるのが、毎年恒例の「DEMOフェスティバル」。ここでの発表は、次世代を担うクリエイターたちにとって重要なステップとなる。
さらに今年度は、大学や異業種から参加する「アンカー・メンバー」を新たに迎え入れる点も特徴的だ。東京藝術大学(東京芸大ニューヨークプロジェクト)がメルコグループとのパートナーシップにより参画するほか、京都大学経営管理大学院、愛知県立芸術大学、東京拠点の建築事務所AS株式会社も順次参加する。
多様な5つのトラック
メンバーは以下5つのトラックに分かれて活動を展開する。
- Art & Code:デジタルと文化を再定義(Rhizomeと協働、Patrick J. McGovern財団支援)
- Creative Science:科学的探究と創造性を融合(Simons財団支援)
- Extended Realities:現実とデジタルを横断する新たな表現(EY、Onassis ONX支援)
- Social Architecture:デザインと建築を通じた公共空間の再構築(Jonathan D & Mark C. Lewis財団支援)
- Cooperative Studies:ケアに基づく共同体モデルの設計
これらのプロジェクトの多くは、人種的公平性、気候変動、教育、アクセス、未来の働き方といった社会的課題にも焦点を当てている。
成果と広がる影響力
2014年の創設以来、NEW INCのメンバーは合計で2,890万ドルの投資資金を調達し、4,500万ドルの収益を創出。ニューヨーク市において384のビジネスを設立または維持し、686の雇用を生み出してきた。
ディレクターのサロメ・アセガ(Salome Asega)は、「NEW INCのメンバーは常に、アート、カルチャー、テクノロジーの“次”を体現しています。今年も優れたクリエイティブ集団を迎えられたことを心から喜んでいます」と述べている。
世界が注目する舞台へ
NEW INC出身のクリエイターたちは、ヴェネツィア・ビエンナーレ、ホイットニー・ビエンナーレ、サンダンス映画祭(Sundance Film Festival)、SXSW(South by Southwest)、カンヌ映画祭(Cannes Film Festival)など、世界的な舞台で作品を発表。さらに、エミー賞(Emmy Awards)、フルブライト・プログラム(Fulbright Program)、クリエイティブ・キャピタル(Creative Capital)、ウェビー賞(Webby Awards)など、数々の栄誉にも輝いてきた。
今回の第12期メンバーも、こうした国際的な舞台での活躍が期待される。詳細なリストや各メンバーの活動内容は、NEW INC公式サイトで確認できる。
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