8月26日(現地時間)、元スパイス・ガールズのヴィクトリア・ベッカム(Victoria Beckham)が率いるファッション&ビューティーブランド「ヴィクトリア・ベッカム・ホールディングス(Victoria Beckham Holdings Ltd)」は、2024年度の売上高が前年比26%増の1億1,270万ポンド(約151億円)となり、4年連続で2桁成長を記録したと発表した。
ファッションとビューティー両輪の成長
売上を牽引したのは、メイフェア旗艦店と公式ECサイトを中心とした直販チャネルで、前年から26%増加し、全体の約62%を占めた。ファッション部門では、ミディドレスやガウンドレスといったクレープ素材のアイコンアイテムが売上を伸ばし、デニムラインの再ローンチやレザーグッズの拡大も成功した。カラー展開ではダークグリーンやバーガンディが注目を集めている。
ビューティー事業も勢いを増し、アイライナー「サテン・カジャル・ライナー」は“30秒に1本売れる”とされるヒット商品に成長。2023年末に立ち上げたフレグランス事業も加わり、スキンケアやメイクアップとともに3本柱を形成している。今後は初のファンデーション発売を控え、さらなるカテゴリー拡大を狙う。
2024年7月に最高経営責任者に就任したシビル・ダリカレール・ルネル(Sybille Darricarrère Lunel)は、「2024年は長期的かつ収益性のある成長に向けた戦略的投資と適正化が進んだ重要な年でした」と振り返る。さらに「困難な市場環境にもかかわらず、4年連続で2桁成長を達成できたのは、強い消費者需要とファッション・ビューティー両分野におけるブランドの勢いのおかげです」と強調した。
ダリカレール・ルネルはこれまで、クリスチャン・ディオール・クチュール(Christian Dior Couture)、ギャラリー・ラファイエット(Galeries Lafayette)、ザ・クープルズ(The Kooples)といった企業で要職を歴任しており、その豊富な経験を背景にブランドの収益基盤を固めている。
また、2017年に3,000万ポンドを出資し、現在も重要な少数株主持分を持つ投資会社NEOインベストメント・パートナーズの創業者デヴィッド・ベルハッセン(David Belhassen)は、「ブランドはファッションからスタートし、2019年のビューティー部門立ち上げを経て、グローバルラグジュアリービジネスへと著しい進化を遂げました」と述べる。さらに「ブランドの高まる魅力は、我々のビジョンの強さ、ヴィクトリア・ベッカムの象徴的なイメージとスタイル、そしてチームの献身の証です」と語り、今後への期待を寄せた。
2024年度は調整後EBITDAが220万ポンド(前年比22%増)に改善した一方で、営業損益は160万ポンドの赤字に拡大した。依然として黒字化の課題は残るものの、売上は4年連続で2桁成長を達成しており、確実に回復基調にある。直近の投資効果や新製品の投入、販売網の拡大によって、2025年以降は収益性の改善が期待される。

同社は、2025年末までに世界200店舗規模の展開を目指しており、卸売チャネルではフランス、イタリア、イギリスの主要百貨店で新たな取り扱いが拡大している。今年秋には、ヴィクトリア・ベッカムのデザイナーとしての歩みを追うNetflixのドキュメンタリーシリーズが配信予定で、ブランドの認知度向上にもつながる見通しだ。
2008年のブランド設立から16年、ヴィクトリア ベッカムは長年赤字に悩まされながらも成長を続けてきたが、今やファッションとビューティー両輪で存在感を高め、グローバルラグジュアリーハウスへの道を着実に歩んでいる。
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