ブルガリ元CEO、フランチェスコ・トラパーニ(Francesco Trapani)が68歳で逝去

フランチェスコ・トラパーニ(Francesco Trapani)

9月10日(現地時間)、イタリアのラグジュアリー業界を代表する経営者、フランチェスコ・トラパーニ(Francesco Trapani)がローマの自宅で病気のため逝去した。享年68歳。

ブルガリを世界的メゾンへ成長させた手腕

トラパーニは創業者ソティリオ・ブルガリ(Sotirios Voulgaris)の曾孫にあたり、1984年に27歳でブルガリの最高経営責任者に就任。以後30年にわたりブランドを牽引し、ジュエリーだけでなく時計、フレグランス、レザーグッズ、ホスピタリティへと事業領域を拡大した。1995年にはブルガリをミラノ証券取引所に上場させ、売上高は1984年当時の2,500万ユーロから2011年には15億ユーロへと成長。従業員数は80人から4,000人規模に拡大し、国際的なラグジュアリーブランドとして確固たる地位を築いた。

2011年にLVMHによる買収が成立し、評価額は43億ユーロに達した。その後、トラパーニはLVMHグループの時計・宝飾部門のプレジデントを務め、2014年まで統合を指揮。以降はベルナール・アルノー(Bernard Arnault)会長のジュエリー戦略アドバイザーを務め、2016年まで取締役会に名を連ねた。

ブルガリ退任後は、イタリアの投資ファンド「クレッシドラ(Clessidra)」の会長としてロベルト・カヴァリ(Roberto Cavalli)の買収に携わり、さらにティファニー(Tiffany & Co.)の取締役を務めた。近年はプライベート・エクイティ企業VAMインベストメンツの大株主兼会長として活動し、2020年にはイタリア初の統合型生産ハブ「グルッポ・フローレンス(Gruppo Florence)」を立ち上げた。同社は現在、約30の工房と3,200人の職人を擁し、70を超える国際ブランドに年間500万点以上を供給している。

ブルガリは公式声明で次のように発表した。

「ブルガリは、ビジョナリーなリーダーであり、当メゾンの現代史における重要な人物であったフランチェスコ・トラパーニの逝去を、深い悲しみとともに悼んでおります。… 大胆で前向きなビジョンによって、フランチェスコはラグジュアリーの境界を再定義し、ブルガリの国際的な存在感を拡大させ、イタリアのエレガンスと現代的洗練の象徴へと押し上げました。」

同社は最後に「彼の卓越した貢献、揺るぎない献身、そして残されたレガシーに心から感謝します」と結び、その精神と情熱は今後も人々を鼓舞し続けると強調した。

トラパーニは4人の子ども、レベッカ(Rebecca)、アゴスティーノ(Agostino)、ヴィットリア(Vittoria)、アレグラ(Allegra)を遺している。

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