ユニクロ（UNIQLO）、米国進出20周年を記念しニューヨーク近代美術館で特別イベントを開催

9月15日（現地時間）、ユニクロ（UNIQLO）はニューヨーク近代美術館（MoMA The Museum of Modern Art）にて、米国進出20周年を記念する特別イベント「The Art and Science of LifeWear」を開催した。イベントでは、戦略的パートナーである東レ株式会社との協業による技術革新を軸に、LifeWearの進化を紹介。さらに、新グローバルブランドアンバサダーに就任した女優ケイト・ブランシェット（Cate Blanchett）が初登場し、現代アーティストのカウズ（KAWS）がブランド初のアーティスト・イン・レジデンスに就任することが発表されるなど、話題性に富んだ内容となった。

米国での歩みとLifeWearとしての進化

ユニクロは2006年、ニューヨークのソーホーに旗艦店をオープンして以来、MoMAとのパートナーシップを含めグローバル展開を拡大してきた。ニューヨークというファッション観光都市で培った経験は、ブランドが掲げる「LifeWear」哲学の基盤となっているという。

株式会社ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、「ファッション感度の高いこの街で培った経験が我々のあらゆる仕事に生かされているのです」と話した。

また、過剰生産と大量廃棄の時代が終焉を迎える中、リサイクルやリユースを前提とした服作りの重要性を強調。

「ユニクロは“ファストファッション”ではありません。私たちは時代を超えて長く着られる“タイムレスな服”を作っています。服は誰にとっても必要不可欠な生活の道具であり、上質で丁寧に作られた服を着ることはすべての人の権利です。これを私は『服の民主主義』と呼んでいます。」

「『MADE FOR ALL』という考えは世界に唯一無二の発想であり、具体的な行動そのものなのです」と続けた。

東レとの協業と技術革新

イベントには東レ株式会社の大矢光雄代表取締役社長も登壇。創業100周年を迎えた同社の歩みを振り返りつつ、ユニクロとの協業の意義を語った。

「東レは1957年にニューヨークに駐在員を派遣して以来、米国を最重要拠点のひとつとしてきました。炭素繊維やフィルム、樹脂、繊維など多様な分野で事業を展開し、航空機の軽量化によるCO₂削減や安全な水の供給など、素材の力で世界の課題解決に貢献してきました。」

同社は、航空機向け炭素繊維や水処理技術に加え、次世代モビリティである空飛ぶクルマや半導体産業でも技術を提供。大矢は「超継続と極限追求」という精神を東レの強みとし、「素材の可能性を信じ抜いたからこそ、世界に役立つ製品を生み出すことができました」と述べた。

ユニクロと東レは1999年から協業を開始し、2006年に戦略的パートナーシップを締結。このパートナーシップの実現によって、ヒートテックやエアリズムといった世界的ヒット商品が生み出され、LifeWearの根幹を支えてきた。

ケイト・ブランシェットとフェデラーが語るLifeWear

後半には、ユニクロのグローバルブランドアンバサダーであるロジャー・フェデラー（Roger Federer）とケイト・ブランシェットが登壇し、クリエイティブディレクターのクレア・ワイト・ケラー（Clare Waight Keller）をモデレーターにトークセッションを実施した。

フェデラーは「私はユニクロと7年間ご一緒しています。素晴らしい経験ですし、日本を訪れるたびに強く感じます。クリエイティブなプロジェクトや素材開発を通じて、ユニクロと一緒に取り組んできたことは本当に刺激的でした。アスリートとしての活動だけでなく、人々の暮らしに寄り添うLifeWearの理念を共有できることを誇りに思います」とコメント。

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一方、ブランシェットは「質の高い、しっかり作られた服を持つことは贅沢であるべきではありません。それはユニクロのDNAに刻まれていると思います。衣服は生活に不可欠なものであり、誰もがアクセスできるべきものです。ユニクロと共に、この考えを広げていけることをとても嬉しく思います」と述べた。

カウズ、初のアーティスト・イン・レジデンスに

イベントの締めくくりでは、現代アーティストのカウズがユニクロ初のアーティスト・イン・レジデンスに就任することが発表された。カウズは今後、世界各地のユニクロ店舗や美術館とのパートナーシップを通じたアートイベントを展開し、さらにLifeWear商品の開発にも関わる。初コレクションは2025年秋冬に登場する予定だ。