9月26日(現地時間)、ルイ ヴィトン(Louis Vuitton)は、アール・デコ誕生から100年を迎える節目にあわせ、記念展「Louis Vuitton Art Deco」をパリで開幕した。会場はサマリテーヌ百貨店向かいに位置する「LV Dream」。没入型のエキシビションとして構成され、1925年に開催された「現代装飾美術・産業美術国際博覧会(Exposition Internationale des Arts Décoratifs et Industriels Modernes)」の歴史的瞬間を再現し、同ブランドとアール・デコとの深い結びつきを浮き彫りにしている。
1925年、パリでの決定的瞬間
1920年代のパリは、ジャズと映画、光り輝くショーウィンドーに彩られた都市。その時代に花開いたアール・デコは、幾何学的なデザインや煌めく金属装飾を特徴とし、国際的なデザイン言語として確立されていた。1925年の国際博覧会はその潮流を決定づけた場であり、ここには世界各国から1600万人以上が来場した。
当時、ルイ ヴィトンは、この博覧会に「クラス9」のセクションで参加。旅行鞄や革製品を披露し、モダンライフスタイルを象徴する展示を行った。中心人物となったのは、創業者の孫であるガストン=ルイ・ヴィトン(Gaston-Louis Vuitton)。彼は製品デザインからウィンドウディスプレイに至るまでブランドのビジュアルを牽引し、アーティストとの協業にも積極的だった。
展示構成と見どころ
「Louis Vuitton Art Deco」展は8つの展示室で構成され、300点以上の貴重なアーカイブを公開する。その多くは初めて一般に披露されるものだ。会場では、1925年当時のヴィトンの展示ブースが再現され、エメラルドグリーンのカーテンや円形の照明、アール・デコ調の金文字ロゴが来場者を迎える。
展示には、クチュリエのポール・ポワレ(Paul Poiret)やオペラ歌手マルト・シュナル(Marthe Chenal)のために制作された特注トランク、作曲家イーゴリ・ストラヴィンスキー(Igor Stravinsky)が所有したグルーミングセットなどが含まれる。象牙やべっ甲、ワニ革といった希少素材を用いた品々は、当時の贅沢と職人技を物語る。
また、ガストン=ルイ・ヴィトンが執筆したウィンドウディスプレイに関する論考や、店舗ファサードのスケッチも展示。彼は自ら全てを撮影・記録しており、ブランド初のアーカイビストとして後世に多大な遺産を残した。
過去から現代への継承
展示の一部では、1920年代に誕生したミノディエールやイブニングバッグなどの小型バッグを紹介。これらはマーク ジェイコブス(Marc Jacobs)やニコラ ジェスキエール(Nicolas Ghesquière)らによる後年のコレクションとも対比され、アール・デコの精神が現代へと受け継がれていることを示す。
最終章「Beauty in Travel」では、豪華客船から大西洋横断飛行まで、1920年代の旅の文化を背景にヴィトンの存在意義を再確認させる構成。ジェスキエールの2020年クルーズコレクションやファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)によるメンズウェアなど、近年の作品も並ぶ。


また、会場に隣接する「Le Café Maxime Frédéric at Louis Vuitton」では、展覧会に合わせた特別メニューやショコラを提供。ギフトストアでは、コレクターズアイテムに加え、スモールレザーグッズや書籍なども購入可能だ。


さらに10月22日(現地時間)からは、パリ装飾美術館(Musée des Arts Décoratifs)で「1925-2025:アール・デコ100年展」が開幕予定。ルイ ヴィトンの展示品も出品され、時代を超えたアール・デコの全貌が示される見込みである。
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