フェンディ(Fendi)のチーフ・クリエイティブ・オフィサーにマリア・グラツィア・キウリが就任

Maria Grazia Chiuri

ローマを拠点とするイタリアのラグジュアリーブランド、フェンディ(FENDI)は、2025年10月14日付でマリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)をチーフ・クリエイティブ・オフィサーに任命したと正式に発表した。この人事は、長年ブランドを支えてきたシルヴィア・フェンディ(Silvia Venturini Fendi)がクリエイティブ職を退き、名誉会長へと就任したことに伴うものである。

ディオールからフェンディへ、“原点回帰”の復職

ローマ生まれのキウリにとって、フェンディはキャリアの出発点であり、約10年にわたりアクセサリーデザインを担当したブランドでもある。特に、フェンディのアイコンバッグである「バゲット(Baguette)」の開発をシルヴィア・フェンディとともに主導したことでも知られている。 その後、ヴァレンティノ(Valentino)でピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)と共同でクリエイティブを担い、2016年からはディオール(Dior)で同ブランド史上初となる女性クリエイティブ・ディレクターに就任。ウィメンズおよびオートクチュール部門を統括し、フェミニズムを軸に据えたビジョンでブランドの成長を牽引した。

LVMHとフェンディ経営陣のコメント 今回の発表に際し、LVMHグループ会長兼CEO ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)は次のように述べている。

「マリア・グラツィア・キウリは、現代ファッション界における最も優れたクリエイティブ・タレントの一人です。彼女がLVMHグループ内で創造性を発揮する場として再びフェンディを選んでくれたことを、私は非常に嬉しく思います。フェンディのチーム、そして彼女の愛する街に囲まれながら、マリア・グラツィアはこのメゾンの芸術的刷新と未来の成功に貢献し、その唯一無二の遺産を継承してくれると確信しています。」

また、2025年7月に就任したフェンディの会長兼CEO ラモン・ロス(Ramon Ros)も次のように期待を寄せる。

「マリア・グラツィアをチームに迎えることを大変嬉しく思います。現在、クリエイティブ・ディレクターの役割は、単に美しい服をデザインすることではなく、文化をキュレートし、我々が生きる世界を映し出す存在であるべきです。彼女の才能とビジョンは、フェンディの遺産を強化し、未来のクリエイターを育て、イタリアのクラフツマンシップへのコミットメントをさらに深めるために不可欠です。」

キウリ本人も次のようにコメントしている。

「フェンディに戻ることを、光栄と喜びをもって受け止めています。キャリアの始まりを、創業者である5人姉妹の導きのもとで過ごせたことは特権でした。フェンディは常に才能のるつぼであり、多くのクリエイターたちの出発点でした。それは、この5人の女性たちが世代を超えてビジョンと技術を育んできた卓越した力によるものです。 私にこの素晴らしい女性創業企業の新たな章を共に紡ぐという役割を託してくださったアルノー氏に、心から感謝しています。」

デビューはフェンディ2026-2027年秋冬コレクション

なお、マリア・グラツィア・キウリは、2026年2月に開催されるミラノ ファッションウィークにて、フェンディのチーフ・クリエイティブ・オフィサーとしての初コレクション(2026-2027年秋冬)を発表する予定だ。彼女はウィメンズのみならず、メンズ、オートクチュール、アクセサリーラインなども含めた全体を統括する見込みである。

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