エスティ ローダー(Estée Lauder)、AI主導の「フレグランス アトリエ」をパリに開設

Estee Lauder

10月14日(現地時間)、エスティ ローダー カンパニーズ(The Estée Lauder Companies Inc.)は、フランス・パリ2区リュ・ヴォルネ(Rue Volney)に新拠点「ラ メゾン デ パルファム(La Maison des Parfums)」を開設し、その中心施設として最先端の研究拠点「フレグランス アトリエ(Fragrance Atelier)」を始動させた。

フランス大統領エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)の高位後援のもと誕生したこの新拠点は、ラグジュアリーおよびプレステージフレグランス事業の成長を加速させる、グローバル・イノベーションハブとしての役割を担う。

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パリの中心で、香りの芸術と科学が融合する拠点

総面積2,000平方メートル、5階建ての「ラ メゾン デ パルファム(La Maison des Parfums)」は、「ジョー マローン ロンドン(Jo Malone London)」、「ル ラボ(Le Labo)」、「トム フォード(Tom Ford)」、「キリアン パリ(Kilian Paris)」、「エディション ド パルファン フレデリック マル(Editions de Parfums Frédéric Malle)」といったエスティ ローダー傘下ブランドのチームを一つに集約し、研究・開発・マーケティング・クリエイティブを横断的に結びつける拠点として機能する。

同施設は、米国・中国(上海)・ヨーロッパ(ベルギー)・カナダ(トロント)に広がるグローバル研究・イノベーションネットワークをさらに強化する目的で設計されており、世界各地の市場から得られる消費者インサイトや技術的知見を集約し、研究から製品化までのプロセスを最適化する。パリという香水文化の中心に誕生したこのアトリエは、エスティ ローダーのグローバルR&I戦略において、“創造と科学をつなぐ中核拠点”として位置づけられている。

施設内には、AIを活用した香りの開発ラボや嗅覚・神経科学モデリングの実験室、CO₂超臨界抽出やGCMS分子分析を行う技術設備、そして「ミュージックルーム」と呼ばれる感性刺激型スペースなど、科学と感性が交差する多層的な環境が整備されている。

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技術革新が生む「成長のエンジン」

エスティ ローダー カンパニーズ社長兼CEOのステファン・ド・ラ・ファヴェリー(Stéphane de La Faverie)は「パリにフレグランス アトリエを開設できたことを誇りに思います」と声明で語る。

「創造性と革新の豊かな伝統を基盤に、このアトリエは当社の成長を次の段階へと押し上げる存在です。香水の発祥地パリにおいて、最先端技術とデータドリブンな知見、そして嗅覚の専門性を融合させ、世界中の消費者に向けて次世代の香りを生み出します。」

同氏はまた、アトリエが同社のポートフォリオ全体のイノベーションを推進する“成長のエンジン”であることを強調。AIと神経科学を活用した開発体制により、研究から製品化までのプロセスを大幅に短縮し、トレンドの変化に迅速に応える体制を築いているという。

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フランスへの長期的コミットメント

また、このプロジェクトは、同社が推進する経営再建プラン「Beauty Reimagined」の一環でもある。フレグランスカテゴリーを成長の核に据え、芸術性・科学・データテクノロジーを融合させることで、香りの可能性を再構築しようとする取り組みだ。

同社は現在、フランス国内で1,200名以上を雇用し、ダルファン パリ(Darphin Paris)やラボシリーズ(Lab Series)など複数のブランドが同国を本拠地としている。今回の「フレグランス アトリエ」の開設によって、フランスおよび香水産業への長期的コミットメントがより一層強化される。

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