エルメス(Hermès)、メンズ アーティスティック・ディレクターのヴェロニク・ニシャニアンが退任

Hermès

10月16日(現地時間)、エルメス(Hermès)は、1988年からメンズ部門を率いてきたアーティスティックディレクターのヴェロニク・ニシャニアン(Véronique Nichanian)が退任することを正式に発表した。最後のコレクションは、2026年1月のパリ・メンズ・ファッションウィーク期間中に発表される予定である。

“クラフツマンシップ”を核とした37年の歩み

今回の退任は、ファッション業界におけるひとつの時代の終焉を象徴する。ニシャニアンは現役のクリエイティブ・ディレクターの中で最も長い在任期間を誇り、エルメスのメンズラインを“静かな革新”で導いてきた人物である。

ニシャニアンは、チェルッティ(Cerruti)でキャリアを積んだ後、当時のエルメスCEOジャン=ルイ・デュマ(Jean-Louis Dumas)により1988年に招聘された。以来、卓越した素材選びと洗練されたカラーパレットを武器に、メンズウェアにおける新たな美学を築き上げた。彼女が手がける服は、クラフツマンシップの結晶であり、エフォートレスなエレガンスの象徴でもあった。

またニシャニアンの在任中、エルメスはメゾンとして飛躍的な成長を遂げ、ラグジュアリー業界の頂点に立つ存在へと進化。ブランドの売上は2024年に152億ユーロへ拡大した。

なお、エルメスは後任者の名前をまだ明らかにしていないが、数日以内に発表される見込みである。多くのメゾンでクリエイティブディレクターの交代が相次ぐなか、37年間にわたりメンズウェアに“軽やかさと知性”をもたらしてきた彼女の功績は、エルメスの歴史に深く刻まれることになるだろう。

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