10月17日(現地時間)、H&Mは、いま最も注目を集めるベルギー人デザイナー、グレン・マーティンス(Glenn Martens)とのコラボレーションコレクション「Glenn Martens × H&M」を発表した。Y/プロジェクト(Y/Project)、ディーゼル(Diesel)、そして今季からはメゾン マルジェラ(Maison Margiela)も率いるマーティンスが手がけたこの特別なコレクションは、H&Mのアーカイブからベストセラーアイテムを再構築し、自身のデザインコードを融合させた“新しいクラシック”として登場する。
アヴァンギャルドと日常のあいだにある遊び心
マーティンスはこれまで、実験精神とユーモアを武器に、ファッションの既成概念を軽やかに覆してきた。Y/プロジェクトでは前衛性と実用性を共存させ、ディーゼルではデニムをカルチャーの象徴へと再定義。そして、メゾン マルジェラでは“概念としての服”を追求する挑戦を続けている。
彼の美学の核にあるのは「変化」と「多面性」だ。構築的でありながら柔らかく、奇抜でありながら洗練されている――その二面性の中に、知性と感性の絶妙なバランスが息づく。
マーティンスにとってファッションとは、理性と感情が交錯する表現の場であり、彼の手によって生み出される服は、常に進化を続ける“生きた存在”として輝きを放っている。

英国的ヘリテージへの再解釈
今回のコレクションでは、英国の伝統的要素がマーティンスらしいひねりで再構築されている。タータンチェックやスコットランドのニット、リッチなツイード、ボイルドウールのコートなど、クラシックな素材が新たな構築美のもとで再編集され、遠目には伝統的でありながら、触れればまったく異なる次元へと誘うグレン・マーティンス流のツイストが光る。
マーティンスは「形や素材を通して“貴族的な英国らしさ”を表現しました。遠目では伝統的なツイードジャケットに見えても、実際に手に取るとまったく別世界の服だとわかるはずです」と語る。
王族の肖像を思わせる“ファッションファミリー”
また、キャンペーンビジュアルには、ジョアンナ・ラムリー(Joanna Lumley)とリチャード・E・グラント(Richard E. Grant)が架空のファッションファミリーの“母と父”として登場。モデルのクライム・エヴァーデン(Clym Evernden)、オードリー・マルネイ(Audrey Marnay)、ジュム・クオクニン(Jum Kuochnin)、ヘザー・ダイアモンド・ストロングアーム(Heather Diamond Strongarm)、クララ・デニソン(Clara Denison)が“ティーンエイジャー”役を務め、19世紀の貴族肖像画を現代的にパロディ化した。
「このコレクションは、多様な目的と個性を持つ大きなファミリーのような服たちです。人と同じように日々成長し、変化していきます。私は本当に日常で着る服に興味があり、アーキタイプ(原型)やワードローブの定番という考え方が、この特別で楽しいH&Mとのプロジェクトの出発点でした」とマーティンスは説明する。
コレクション概要
「H&M × Glenn Martens」コレクションは、10月30日よりH&M渋谷店・新宿店および公式オンラインストア(hm.com)にて限定発売。操作的なデニム、編み込みや解体を施したニット、繊細なプリントドレス、再設計されたトレンチコート、そしてシアトリカルなジュエリーや変形可能なバッグなど遊び心と構築美が融合した全57型のラインナップが展開される。





Copyright © 2025 Oui Speak Fashion. All rights reserved.


