ケリング(Kering)とロレアル(L’Oréal)、ビューティ&ウェルネス分野で正式提携──40億ユーロ規模の戦略的パートナーシップ

L'Oréal Groupe

10月19日(現地時間)、ケリング(Kering)とロレアル(L’Oréal)は、ラグジュアリービューティおよびウェルネス領域における長期的な戦略的提携を発表した。今回の合意には、ロレアルによる「ハウス オブ クリード(House of Creed)」の買収、ケリング傘下ブランドのフレグランスおよびビューティ製品の長期ライセンス契約、さらにウェルネスおよび長寿領域における共同事業の設立が含まれている。

ケリング×ロレアル、再び手を結ぶラグジュアリーの巨頭たち

両社はすでに「イヴ サンローラン ボーテ(Yves Saint Laurent Beauté)」を通じて成功を収めており、今回の提携はその協力関係をさらに深化させるものだ。ケリングのアイコニックなラグジュアリーブランドと、ロレアルの世界的なビューティ分野での研究・開発力を結集し、ハイポテンシャルカテゴリーにおける成長加速と新たな価値創造を目指す。

契約の一環として、ケリングは「ケリング ボーテ(Kering Beauté)」および「クリード」をロレアルに売却する権利を有する。クリードはオートパルファンの世界で確固たる地位を築いており、希少な天然素材と職人技による調香で知られる伝統ブランドだ。今後はロレアル・ラグジュアリー部門(L’Oréal Luxe)のもとで、グローバル展開をさらに加速させる。

グッチ、ボッテガ・ヴェネタ、バレンシアガ──ビューティラインの未来を担う50年ライセンス

提携内容には、グッチ(Gucci)のフレグランスおよびビューティ製品に関する50年間の独占ライセンス契約が含まれ、現在のコティ(Coty)との契約終了後に発効する。また、ボッテガ ヴェネタ(Bottega Veneta)とバレンシアガ(Balenciaga)についても、同様に50年間の独占ライセンスがロレアルに付与される予定だ。この取り組みにより、ケリングの主要ブランドが持つ美的遺産とロレアルの技術力が融合し、新たなラグジュアリービューティの地平が開かれる。

なお、本契約の取引額は40億ユーロ(約6,800億円)で、2026年前半の完了を予定。ロレアルはケリングに対してライセンスブランドのロイヤリティを支払い、両社間の協業を監督・推進する戦略委員会も設置される。

「ウェルネスと長寿」への新たな挑戦──50/50合弁で未来を描く

さらに両社は、ビューティ領域にとどまらず、ラグジュアリー、ウェルネス、長寿の交差点における新たな事業展開にも踏み出す。50対50の合弁事業として設立予定のこのパートナーシップでは、ロレアルの革新力とケリングの顧客理解力を掛け合わせ、未来志向のウェルネス体験やサービスを創出していく。

この歴史的提携について、ケリングCEOのルカ・デ・メオ(Luca de Meo)は次のようにコメントしている。

「この提携はケリングにとって非常に重要な一歩です。世界的リーダーであるロレアルと協力することで、私たちのメゾンにおけるフレグランスとコスメの成長をさらに加速させることができると考えています。イヴ・サンローラン・ボーテが示したように、長期的な可能性を最大限に引き出し、ロレアルの専門性と当社のラグジュアリーリーチを融合することで、新たなウェルネスのフロンティアを切り拓いていきます。」

また、ロレアル グループCEOのニコラ・イエロニムス(Nicolas Hieronimus)も以下のように続ける。

「世界で最も創造的で先見的なラグジュアリーグループの一つと提携できることを誇りに思います。このパートナーシップは、ロレアルが“世界No.1のラグジュアリービューティ企業”としての地位をさらに強化し、ウェルネス分野における新しい挑戦にも道を開くものです。クリードを通じてニッチフレグランス市場での存在感を高め、グッチ、ボッテガ ヴェネタ、バレンシアガといった卓越したブランド群を通じて、ラグジュアリービューティの未来を再定義していきます。」

今回のケリングとロレアルの提携は、ビューティとウェルネスの垣根を越え、ラグジュアリー業界に新たな時代を切り拓く歴史的な一歩となった。両社の協業が描く未来は、単なるブランド提携を超え、ラグジュアリーライフスタイルそのものの再定義につながる可能性を秘めている。

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