「ショップマイ（ShopMy）」、評価額15億ドルで7,000万ドルを調達──“キュレーテッド・コマース”の新たな成長段階へ

10月22日（現地時間）、クリエイターコマースのインフラを構築するショップマイ（Shop My Shelf, Inc.）は、評価額15億ドルで7,000万ドル（約105億円）の資金調達を完了したことを発表した。

ショップマイは、プレミアムブランド、テイストメーカー、そして消費者を結ぶ統合的なマーケティング基盤を構築しており、“一過性の広告”ではなく“長期的なブランド価値”の創出を目指すプラットフォームだ。

今回のラウンドはアベニール（Avenir）が主導し、ベイン・キャピタル・ベンチャーズ（Bain Capital Ventures）、ベッセマー・ベンチャー・パートナーズ（Bessemer Venture Partners）、メンロ・ベンチャーズ（Menlo Ventures）が参加。さらに、ソフィア・リッチー（Sofia Richie）、グレッグ・レンフリュー（Gregg Renfrew）、レイサ・ジェローナ（Raissa Gerona）、AGMベンチャーズのアレックス・モンドレ（Alex Mondre）、エイミー・ソング（Aimee Song）、ジャコポ・モスキン（Jacopo Moschin）といった著名投資家も名を連ねている。

ブランド価値を“広告からセンスへ”

2020年にハリー・レイン（Harry Rein）、ティファニー・ロピンスキー（Tiffany Lopinsky）、クリス・ティンズリー（Chris Tinsley）によって設立されたショップマイは、当初はクリエイターの個別ストアフロントとしてスタートした。その後、複数のキュレーターが協働する仕組みへと発展し、現在では年間10億ドルを超える取引を創出している。ブランドとの提携から消費者の購買体験までを統合的に管理し、“世界最高の商品を見つける”ための新たなインフラとして機能している。

CEOのハリー・レインは、今回の発表に際し次のようにコメントしている。

「ショップマイは、本物の価値を信じるという信念のもとにあります。持続的なブランド価値は、広告やアルゴリズムによる推薦ではなく、キュレーションとセンスによって生まれる。消費者が世界最高の商品を発見し、購入できるようにすることが私たちの使命です。」

急成長を支える“キュレーター・エコシステム”

同社によると、ショップマイの年間取扱高はすでに10億ドルを突破しており、世界中のテイストメーカー18万5,000人以上がプラットフォームに参加している。提携するプレミアムブランドは1,200社を超え、ブランドとキュレーターが長期的な関係を築きながら文化的価値を共有する仕組みが整いつつある。

また、2025年8月にローンチされた消費者向け機能では、「サークルズ（Circles）」と呼ばれる新しいキュレーションフィードを導入。これは複数の信頼できるクリエイターの推薦をもとに個人化されたショッピング体験を提供するもので、これまでに3万件以上のサークルが作成され、ウィッシュリストに登録された商品は15万点を超えている。

さらに、同社は年間売上成長率200％を達成し、2024年以降は黒字経営を継続。これらの成果が、“キュレーター主導のコマース”という新しいモデルが市場で確実に浸透していることを示している。

プレジデントのティファニー・ロピンスキーは、「口コミは常に商業における最も強力な力です。私たちは、それをスケール化できるインフラを構築しています。私たちは、キュレーターこそが次世代のブランド流通の未来であると確信しています。この投資により、個人の情熱を大規模で測定可能な成果へと変換することが可能になりました」と説明。

また、アベニールの創業者アンドリュー・サグルー（Andrew Sugrue）は、「ショップマイは、ブランドのポジショニングを損なうことなく、クリエイターコマースを成立させる方法を見事に確立しました」と評価している。