10月23日(現地時間)、ケリング(Kering)傘下のマックイーン(McQueen)は、ロンドン本社で最大55名、全体の約20%にあたる人員削減を実施する見通しであることが明らかになった。ブランドは経営の立て直しに向けて、包括的な戦略的見直しを開始している。
収益性回復に向けた事業再編
米WWDによると、マックイーンは今後3年間で持続可能な収益性を取り戻すことを目的に、包括的な戦略的見直しを進めている。グローバル全体の事業構造を見直し、英国本社の再編を行うことで、国際市場での業務の複雑性を軽減する方針だという。また、同社はこの過程で影響を受ける従業員への支援体制を整え、必要に応じて補助を提供する考えを示している。これらの取り組みは、ブランドの基盤を強化し、長期的な成長につなげる狙いがある。
今回の再編は、親会社ケリングがグループ全体で進めている構造改革の一環であり、マックイーンもその重要な一部として事業の再構築と収益性の回復を目指している。
ケリング全体で進む改革と影響
またケリングは、10月22日(現地時間)に、2025年第3四半期の売上が前年同期比10%減の34億ユーロであったことを報告した。ルカ・デ・メオ(Luca de Meo)CEOは決算発表で「ケリングの第3四半期業績は明確な改善傾向を示したものの、市場全体と比較すると依然として低水準にあります。ブランドとグループを本来あるべき地位に戻すため、あらゆる側面で立て直しを進めています」とコメント。
同グループは先日、ビューティ部門をロレアル(L’Oréal)へ40億ユーロで売却することを発表したばかり。これには、香水・ビューティ分野における長期ライセンス契約とウェルネス分野での合弁事業設立も含まれている。
加えて、デ・メオCEOは株主総会にて、グループ全体の再建方針を次のように語った。
「資本配分の質を改善し、実質的な業務の回復をもたらす最も効果的な手段に、当面の努力を集中させます。負債の削減、コストの最適化、そして必要に応じてブランドの再編や再ポジショニングを進めていきます。」
マックイーンの苦戦と今後
マックイーンは、グッチ(Gucci)やサンローラン(Saint Laurent)と比べるとグループ内では小規模ながら、長年にわたりケリング(Kering)のブランドポートフォリオの一角を占めてきた。サラ・バートン(Sarah Burton)の時代には、その繊細で詩的なクリエイションが高く評価された一方で、商業面での成長は思うように進まず、ブランドは長く苦戦を強いられてきた。
現在、ショーン・マクギアー(Seán McGirr)がクリエイティブディレクターとして新章を切り開いており、ブランドの再生に向けた新たな方向性を模索している。彼の就任は、マックイーンが再び現代のラグジュアリー市場で存在感を示すための挑戦でもある。
グループ全体が転換期を迎える中で、マックイーンがどのようにそのポジションを再定義していくのか。今後の動向が注目される。
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