カルティエ現代美術財団、パレ・ロワイヤル広場へ移転ー『エクスポジション ジェネラル』展を開催

Fondation Cartier pour l’art contemporain

パリ中心部、パレ・ロワイヤル広場に新たな拠点を構えたカルティエ現代美術財団(Fondation Cartier pour l’art contemporain)が、移転を記念し、大規模な展覧会『エクスポジション ジェネラル(Exposition Générale)』を開催している。開催期間は2025年10月25日から2026年8月23日まで。財団の40年以上にわたる活動の軌跡を辿る壮大な展覧会だ。

建築とアートの対話──ジャン・ヌーヴェルによる新空間

1984年、カルティエの当時のプレジデント、アラン=ドミニク・ペランによって設立されたカルティエ現代美術財団は、アートの実験と対話を育む場として多彩なアーティストと協働してきた。今回の移転により、財団はラスパイユ大通りからパレ・ロワイヤル広場2番地へと拠点を移し、建築家ジャン・ヌーヴェル(Jean Nouvel)による新建築で再出発を遂げた。

かつてグラン・マガザン・デュ・ルーヴルが入っていたオスマン様式の建物を再構築したこの空間は、歴史とモダニティの融合そのもの。大きく張り出した窓が街へと開かれ、5つの可動式プラットフォームが展示の表現領域を無限に拡張する。写真、映画、舞台芸術、科学、工芸など、さまざまな表現がここで交錯し、パリの文化的中心に新たな創造のエネルギーを吹き込んでいる。

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Fondation Cartier pour l’art contemporain

『エクスポジション ジェネラル』展が開催

新拠点のこけら落としとして開催される『エクスポジション ジェネラル』展は、財団のコレクションから選りすぐられた約600点を展示。クラウディア・アンデュジャール、ジェームズ・タレル、サラ・ジー、オルガ・デ・アマラル、石上純也、蔡国強、デヴィッド・リンチ、アネット・メサジェ、ディラー・スコフィディオ+レンフロなど、100名を超えるアーティストが名を連ねる。

同展は「Machines d’architecture(建築という装置)」「Être nature(自然であること)」「Making Things(ものをつくる)」「Un monde réel(現実の世界)」の4つのテーマで構成。
それぞれが建築、自然、技術、未来への視点を交差させながら、現代社会におけるアートの意味を問い直す。

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なお、展覧会タイトル『エクスポジション ジェネラル』は、1855年に同地で開催されたフランス初の万国博覧会を起源に持つ。当時の博覧会は、産業・芸術・科学が交差し、近代性を象徴する場であった。

今回、セノグラフィを手掛けたのはイタリアのデザインユニット、フォルマファンタズマ(Formafantasma)。彼らは万博的展示手法から着想を得て、展示空間を“現代の百科事典”として再構築。アートと社会、技術と感性が織りなす新しい物語を紡ぎ出している。

パリに開かれたアートの未来へ

カルティエ現代美術財団の新しい本拠地は、アートが社会とともに呼吸するための「開かれたプラットフォーム」として機能する。ジャン・ヌーヴェルの建築が象徴するように、それは過去と未来の邂逅であり、都市と自然、技術と感情の交差点だ。

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