プーマ(Puma)、新CEOのもとで900人の人員削減へ

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ドイツのスポーツウェア大手「プーマ(Puma)」が、2026年末までに世界で約900人の企業部門スタッフを削減する方針を発表した。これは、新CEOアルトゥール・ホルド(Arthur Hoeld)による抜本的な構造改革の一環であり、急激な売上減少とブランド勢いの鈍化に対応するための大規模なリストラクチャリングとなる。

同社は今年3月にも世界で約500人を削減しており、今回の発表はコスト削減策の拡大を意味する。ホルドCEOは、「私はプーマというブランドが健在であり、計り知れない可能性を秘めていると確信している」と語り、再生への意欲を示した。

売上10%減、在庫は依然高水準

プーマの第3四半期のオーガニック売上高は19億6,000万ユーロ(約22億9,000万ドル)で前年同期比10.4%減。市場予想の19億8,000万ユーロを下回る結果となった。また、在庫は前年より17.3%増の21億2,000万ユーロに達しており、同社は2026年末までに正常水準へ戻す計画を示している。

この状況の背景には、プーマが長年依存してきた卸売構造と、それに伴うブランド価値の毀損がある。近年、量販店やディスカウント販売の増加によってブランドの希少性が低下したことから、同社は今後、直販モデルへの移行をさらに加速させる方針だ。

プーマはすでに、「望ましくない卸売取引」や「小売店での過剰在庫」、さらに「Eコマースおよび直営店での過度な販促活動」を削減している。アルトゥール・ホルド(Arthur Hoeld)CEOのもと、同社は現在、フットボール、トレーニング、ランニング、スポーツファッションといった中核カテゴリーに注力し、製品ポートフォリオを整理するとともに、北米市場での量販店依存を減らしている。不要なSKUを削減し、ブランドの方向性を明確に打ち出すことで、プーマは2027年以降の健全で持続的な成長を目指す。

株価半減と業界全体の逆風

なお、プーマの株価は年初から50%以上下落した。同社だけでなく、世界的なスポーツウェア業界も米国の輸入関税強化や消費者需要の低迷に苦しんでおり、アディダス(Adidas)やナイキ(Nike)といった競合との差が広がっている。

同社は「2026年を転換期と位置づけ、2027年以降に成長を取り戻す」との見通しを示しており、再生への道のりは容易ではないが、ブランド価値の再構築と流通網の健全化が最重要課題となる。

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