11月3日(現地時間)、1983年にイタリアのフィレンツェで創業したフレグランスブランド「ヴランジェス フィレンツェ(Vranjes Firenze)」が、嗅覚ブランディング事業を手がける「インテグラ フレグランス(Integra Fragrances)」の株式51%を取得したことが明らかになった。今回の買収は、同ブランドが“ホームフレグランスの専門家”から“本格的なフレグランスハウス”へと進化するための重要な戦略的ステップである。
テクノロジーと職人技が融合する“香りの新時代”
インテグラ フレグランスは2006年にイタリアのレッジョ・エミリアで設立され、現在はミラノ、ニューヨーク、香港に拠点を構える。同社はラグジュアリー、ファッション、ホスピタリティ、デザイン業界向けに“嗅覚ブランディング”を提供し、空調や空気制御システムを通じて大規模空間に香りを拡散させる独自技術を保有する。顧客には、世界各国の高級ホテル、ブティック、スパ、企業空間などが含まれる。
ヴランジェス・フィレンツェのCEO、ジュゼッペ・コロット(Giuseppe Colotto)は今回の買収について次のように述べている。
「この買収によって、ブランドの進化と成長においてさらに一歩前進することができます。職人技とインテグラ フレグランスの技術的専門性を融合させることで、プライベート空間から大規模施設、そしてホスピタリティやファッション、ウェルネスの世界まで、より包括的な嗅覚体験を提供できるでしょう。それは“香りの芸術”を通じて美とウェルビーイングを創造するという我々のビジョンに沿った自然な進化なのです。」
一方、インテグラ フレグランスの創業者でありCEOのロレンツォ・コッティ(Lorenzo Cotti)も次のように語る。
「私たちのパートナーと私は、ヴランジェス フィレンツェとのこのパートナーシップを非常に嬉しく思います。これは私たちの成長計画における重要な節目です。空間芳香における当社のテクノロジーと経験を、ヴランジェス フィレンツェの職人技と国際的なブランド力と融合させることで、嗅覚ブランディングの価値をさらに高め、グローバルな成長機会を広げることができるでしょう。」
フィレンツェ発、世界へ。ブランドの進化を支える新戦略
今回の買収は、2024年にヴランジェス フィレンツェがロクシタン・グループ傘下に入って以降、初となる大型の企業提携だ。新たな親会社の国際的ネットワークを活用することで、同ブランドはヨーロッパのみならず、アジアやアメリカ市場での展開を加速させている。
ヴランジェス フィレンツェはこれまで、家庭用ディフューザーを中心に成長を続けてきたが、近年はオードパルファムやハンドケア、カーフレグランスなどパーソナル領域にも事業を拡大。2022年には初のオードパルファムコレクションを発表し、現在は30種類の香り、8サイズのディフューザー、キャンドル、ルームスプレーなどを含む約450SKUを展開している。
さらに、2025年にヴランジェス フィレンツェは、B Corp認証を取得。すべての製品はフィレンツェおよびトスカーナ地方の職人、サプライヤー、パートナーと連携し、地産地消型のものづくりを推進している。
今後は、インテグラ フレグランスの空間芳香技術を取り入れることで、ラグジュアリーホテルやハイエンドリテール、スパなどへのBtoB展開も強化していくとみられる。特に、空間全体を香りでブランディングするという“オルファクトリー・エクスペリエンス”の分野で、ヴランジェス フィレンツェの職人技術とインテグラ フレグランスのテクノロジーが新たな価値を生み出すことが期待されている。
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