タペストリー社(Tapestry, Inc.)、2026年度第1四半期はコーチの2桁成長で好調スタート

Tapestry

11月6日(現地時間)、ニューヨークを拠点とする「タペストリー社(Tapestry, Inc.)」は、2026年度第1四半期の業績を発表し、売上高が前年同期比13%増(恒常通貨ベースで12%増)の17億ドルを記録し、予想を上回る力強いスタートを切った。 特に、コアブランドである「コーチ(Coach)」の22%増(恒常通貨ベースで21%増)が全体を牽引し、プロフォーマベースで16%の成長を遂げた。

売上総利益率の改善と高水準のEPS

売上総利益率は前年同期比120ベーシスポイント上昇し、非GAAPベースで76.5%に到達。販管費率のレバレッジ効果も寄与し、営業利益率はGAAPベースで260ベーシスポイント、非GAAPベースで200ベーシスポイント拡大した。その結果、希薄化後1株当たり利益(EPS)はGAAPベースで1.28ドル(前年比61%増)、非GAAPベースでは1.38ドル(前年比35%増)を達成。これにより、同社は四半期として過去最高の収益およびEPSを記録した。

北米・中国・欧州で2桁増

地域別では、北米が前年比18%増、中国本土を含むグレーター・チャイナが19%増、欧州が32%増と、主要市場すべてで好調だった。特に欧州ではZ世代の新規顧客が顕著に増加しており、ブランドの若年層獲得が進展している。また、D2C(直販)ビジネス全体も恒常通貨ベースで16%増加し、デジタルと実店舗の両方で2桁台半ばの成長を実現した。

ブランドでは、コーチが圧倒的な成長を牽引

中でも、コーチは第1四半期に21%の増収(恒常通貨ベース)を達成し、北米(+26%)、グレーター・チャイナ(+21%)、欧州(+39%)と、全地域で2桁成長を示した。特にハンドバッグカテゴリーでは「Tabby」「New York」「Teri」などのプラットフォームが好調で、平均単価は世界的に2桁台半ばの伸びに。スニーカーなどフットウェア部門も2桁成長を遂げ、Z世代のブランドロイヤルティ向上に寄与している。

一方、「ケイト スペード ニューヨーク(Kate Spade New York)」は9%の減収(恒常通貨ベース)となったが、ブランド再構築に向けた戦略的取り組みが進行中である。ハンドバッグカテゴリーではZ世代の新規獲得が増加しており、今後の回復に期待がかかる。

「Amplify」成長戦略の進展

タペストリーの最高経営責任者(CEO)であるジョアン・クレヴォイセラ(Joanne Crevoiserat)は、「9月に発表した『Amplify計画』の下で、タペストリーのアイコニックなブランドを次世代に広げ、持続的成長を推進している。第1四半期の結果はその力強い幕開けを示すものであり、構造的な優位性と持続可能な成長力への自信をさらに深めています」とコメントした。

この「Amplify」戦略は以下の4本柱で構成されている。

  1. 消費者とのエモーショナルなつながりを構築
  2. ファッションの革新と製品の卓越性を追求
  3. グローバルな成長を促す体験価値の提供
  4. 人材の力を最大化し、文化を進化させる

同社はこの戦略を通じ、グローバル市場で新たな成長機会を創出している。

さらに、堅調なフリーキャッシュフローと強固なバランスシートを背景に、同社は2026年度に13億ドル規模の株主還元を予定している。その内訳は、年間1株当たり1.60ドルの配当による約3億ドルと、当初計画の8億ドルから増額された約10億ドルの自社株買いである。第1四半期中だけで5億ドルを投じ、平均取得単価106ドルで470万株を超える自社株を買い戻した。

通期見通しを上方修正

こうした好調な第1四半期を受けて、タペストリーは2026年度の業績見通しを引き上げた。売上高は前年比7〜8%増の73億ドル前後、営業利益率は前年比50ベーシスポイントの拡大を見込み、非GAAPベースのEPSは5.45〜5.60ドル(前年比7〜10%増)、フリーキャッシュフローは13億ドルを見込んでいる。

タペストリーは今年8月に、ラグジュアリーフットウェアブランド「スチュアート ワイツマン(Stuart Weitzman)」を、フットウェア業界大手のカラレス(Caleres)へ総額1億2,020万ドルで売却した。この取引により、同社のブランドポートフォリオは一層洗練され、コア領域であるコーチを中心としたハンドバッグおよびレザーグッズ事業に経営資源を再集約。これまで以上に明確な戦略的焦点を打ち出し、成長と収益性の両面で新たなステージへと移行している。

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