パリ発のラグジュアリーブランド、カサブランカ(Casablanca)がロサンゼルス・ビバリーヒルズにアメリカ初となる旗艦店をオープンした。サウス・サンタモニカ・ブルバードとキャノン・ドライブの角に位置するこの店舗は、約5,400平方フィート(約500平方メートル)の広さを誇る。
創設者でありアーティスティックディレクターのシャラフ・タジェール(Charaf Tajer)にとって、ロサンゼルスは長年インスピレーションの源であった。彼はこの街を、スケートボードや映画、チカーノカルチャー、建築など多様な文化が交錯する“生きたパラドックス”として捉えている。陽光と陰影、産業とサブカルチャー、理想と現実が交錯するロサンゼルスは、まさにカサブランカのデザイン哲学を体現する都市だと語る。

店舗は20世紀初頭に建てられた元銀行を改装したもので、高い天井と壮大なアーチが印象的だ。タジェールとブランドのアートディレクターであるスティーヴ・グライムス(Steve Grimes)は、オリジナルの建築要素を残しつつ、現代的な感性を取り入れて空間を再構築した。
店内には、16世紀フランスのタイポグラフィーに着想を得たゴールドの3Dサインと、最先端のVoidサウンドシステムが共存している。高さ約10メートルの天井とカーマインレッドの壁が印象的で、クラシックと未来的要素が調和する独自の世界観をつくり出している。
タジェールは、ギリシャ建築の円柱のようなクラシックな美しさと、現代的なエネルギーを融合させることこそがカサブランカの魅力だと考えている。




また、この店舗ではロサンゼルス限定のアイテムも展開される。特別カラーのTシャツやシャツなど、ここでしか手に入らない限定商品をラインナップし、ブランドが大切にしてきた“特別な体験”を強調している。
ブランドCEOのフレデリック・ルコフ(Frederick Lukoff)は、今回の出店を「単なる拡大ではなく、グローバルな小売戦略における重要なマイルストーン」とコメント。L.A.という文化とビジネスが最もダイナミックに交わる地に店舗を構えることで、カサブランカの世界観を真に理解する市場へ届ける意図があるという。
パリでの初店舗オープンからわずか数ヶ月でのアメリカ進出。クラシックとモダン、芸術とストリートを横断するカサブランカのクリエイションが、ロサンゼルスという市場でどのような存在感を築くのだろうか。
さらに先月、ブランドはこの新章を象徴するかのように、ファクション・スキー(Faction Skis)とのコラボレーションによる初の『ウィンタースポーツ・カプセルコレクション』を発表した。光と色の移ろいを通して山岳の情景を描き出す特別限定版スキーには、カサブランカ独自の詩的な色彩言語が息づいている。
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