2026年メットガラ(The Met Gala 2026)のテーマは「コスチューム・アート(Costume Art)」に

Met Gala

11月17日(現地時間)、ニューヨークのメトロポリタン美術館(The Metropolitan Museum of Art)は、2026年のコスチューム・インスティテュート新展覧会のテーマを「コスチューム・アート(Costume Art)」と正式に発表した。同展覧会は、5,000年以上にわたるアートと衣服を横断し、“身体”そのものを美術史の中心テーマとして捉え直すものだ。

展示には、約200点の衣服とアクセサリー、そして同数のアート作品が並び、ファッションと身体がどのように相互作用し、歴史の中で形づくられてきたかを考察する内容となる。視覚的な美しさに偏りがちな従来のファッション展示とは一線を画すアプローチが期待される。

アンドリュー・ボルトンが語る展覧会の核心

コスチューム・インスティテュートのキュレーターであるアンドリュー・ボルトン(Andrew Bolton)は、今回のコンセプトについて次のように語っている。

「この展覧会の狙いは、アートとファッションの議論に“身体”を取り戻すことにあります。そして、ファッションを芸術として高めるために身体を排除するのではなく、むしろ身体そのものを受け入れることを大切にしています。」

「私たちの身体と着ている服の間には、切り離すことのできないつながりがあります。」

テーマ別に構成される“身体のアーカイブ”

展示は、身体の普遍性と変容を軸に、以下のカテゴリーで構成される予定だ。

  • 裸体(Naked Body)
  • 古典的身体(Classical Body)
  • 妊娠した身体(Pregnant Body)
  • 老いる身体(Aging Body)
  • 解剖学的身体(Anatomical Body)
  • 死すべき身体(Mortal Body)

例えば、アルブレヒト・デューラー(Albrecht Dürer)による1504年の《アダムとイブ》の版画と、ウォルター・ヴァン・ベイレンドンク(Walter Van Beirendonck)による2009年のスパンデックス製ボディスーツが並べられるように、異なる時代や文化を超えて“身体の解釈”が共鳴し合う展示が実現する。

新設「Condé M. Nast Galleries」でのこけら落とし

また、この展覧会「コスチューム・アート」は、メトロポリタン美術館の正面に位置するグレートホール横に新設される、12,000平方フィートの「コンデ・M・ナスト・ギャラリーズ(Condé M. Nast Galleries)」のオープニング展示として披露されることも明らかになった。

これは長年地下に設けられていたコスチューム・インスティテュートの主展示が、ついに“美術館の中心”へ移動する歴史的な転換点でもある。

ボルトンは新ギャラリーの意義について、次のように述べている。

「この新ギャラリーは当部門にとって大きな転換点になるだけでなく、メットのような美術館がファッションに中心的な場所を与えるという事実は、ファッション全体にとっても革新的な動きになると思います。」

鏡のマネキンと実体キャスト——“身体体験”としての展示設計

同展では、鑑賞者自身が“身体”というテーマをより深く理解できるよう、新たな展示手法も導入される。ボルトンは、その狙いを「私は常に、鑑賞者とマネキンの間にある距離を埋めたいと考えてきました」と語る。

そのため、鏡張りのマネキンや、人間の実際の身体から型取ったキャストを用いた展示が行われるという。ボルトンはその意図をさらに次のように説明している。

「目の前の身体が持つ“生の経験”を鑑賞者に考えていただくだけでなく、鑑賞者ご自身の経験にも照らし合わせていただきたいのです。それによって、共感や理解が生まれることを目指しています。」

2026年メットガラも同テーマに

展覧会のテーマである「コスチューム アート」は、2026年度のメットガラ(The Met Gala 2026)の公式テーマとしても採用される。ゲストたちが“身体をアートとしてどう表現するか”が焦点となり、メットガラにおいても身体性・物質性・彫刻性が主要なキーワードになると見られる。

正式なドレスコードは2026年に別途発表される予定だが、今回のテーマから判断すると、身体そのものをどのように再解釈し提示するか、というその問いがゲストに投げかけられることは間違いない。

なお、2026年度のメットガラは、5月4日(月)にニューヨーク・5番街のメトロポリタン美術館で開催。同イベントは、メトロポリタン美術館コスチューム・インスティテュートの主要な資金調達行事として知られ、毎年その収益が同部門の活動を支えている。また、展覧会「コスチューム・アート」は、メットガラの1週間後となる2026年5月10日に一般公開され、2027年1月10日まで開催される予定である。

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