11月17日(現地時間)、ニューヨークのメトロポリタン美術館(The Metropolitan Museum of Art、以下MET)は、2026年メットガラと新たな展覧会の詳細を明らかにした。テーマは「コスチューム・アート(Costume Art)」。5,000年以上にわたるアートと衣服を横断し、“身体”そのものを美術史の中心に据え直す試みだ。
しかし、この発表の中で最も強い視線を集めたのは、展示内容ではなく、主要寄付者として名を刻んだジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)とローレン・サンチェス(Lauren Sánchez Bezos)夫妻の名前である。
ファッション業界を揺さぶった「Vogue買収」の憶測
ベゾス夫妻は、かねてよりファッション界とメディア業界の動向に深く関与してきたことで知られる。今年7月、夫妻はイタリア・ヴェネチアを丸ごと貸し切り、総額70億円規模と報じられた3日間の豪華な結婚式を挙げ、その華やかさは世界の注目を一身に集めた。
しかし、業界関係者の間で話題となったのは“結婚式そのもの”ではなく、その後に浮上した 『Vogue』買収をめぐる憶測 である。
当時、ローレン・サンチェスが『Vogue』デジタル版のカバースターとして登場し、アナ・ウィンター(Anna Wintour)が選んだドルチェ&ガッバーナ(Dolce & Gabbana)のウェディングドレスを纏ったことが、憶測の引き金となった。タイミングを合わせるように、ウィンターが37年務めた編集長の職を退いたことで、「舞台裏ではより大きな交渉が進んでいるのではないか」との声が広がったのである。
さらに英紙デイリーメールは、ジェフ・ベゾスが『Vogue』単体ではなく、同誌を擁するコンデナスト(Condé Nast)全体の買収を検討していると報じた。
主要寄付者としての関与
そんな中で発表された今回のメットガラの詳細。METが公開したプレスリリースには、次の一文が明確に記されていた。
「この展覧会は、ジェフ・ベゾスとローレン・サンチェス・ベゾスによって実現しました。」
サンローラン(Saint Laurent)やコンデナストも支援企業として名を連ねているが、個人名がここまで強調されるのは異例である。夫妻の寄付額は非公表ながら、METがその名を前面に押し出したことは、両者の影響力の大きさを物語る。
ベゾス夫妻にとってメットガラは馴染み深いイベントだ。2024年にはテーマ「Garden of Time」の回に揃って登場し、ローレン・サンチェスはオスカー デ ラ レンタ(Oscar de la Renta)のカスタムドレスで話題をさらった。
展覧会のテーマと構成
今回の新展覧会「コスチューム・アート」は、衣服と身体の関係性をテーマに、METの各コレクションから選ばれた約200点のアート作品と200点の衣服・アクセサリーが一堂に並ぶ。
また、ヴォーグ編集長に就任したばかりのクロエ・マレ(Chloe Malle)にとって、メットガラの総指揮を執るのは今回が初となる。なお、展覧会は2026年5月10日に開幕し、2027年1月10日まで続く。
今回の主要寄付者としての名乗りは、夫妻がファッション界や文化機関との関係性をさらに深めつつあることを明確に示している。メットガラに限らずとも、ベゾス夫妻の動向は、今後も引き続き注目を集めることになるだろう。
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