中東最大級のファッション・テキスタイル見本市「国際アパレル&テキスタイルフェア 2025ドバイ(International Apparel & Textile Fair、以下IATF)」が、11月17〜19日の3日間にわたりドバイ・ワールド・トレード・センターで開催された。20回目の節目となる今年、IATFは400社以上の出展者、5,722名超のバイヤーが世界中から参加。湾岸地域における国際ファッション調達の“ハブ”としての地位を改めて確固たるものにした。
ドバイが示す、世界ファッション産業の新たな交差点
開幕式には、ドバイ・ワールド・トレードセンター副会長 H.E. ブッティ・サイード・アル・ガンディ(H.E. Butti Saeed Al Ghandi) と、同センター エグゼクティブ・バイスプレジデント マヒル・ジュルファル(Mahir Julfar) が登壇した。両名の出席は、ドバイがアジア・欧州・中東を結ぶグローバル取引拠点として、存在感を着実に強めていることを象徴する場となった。
また、IATF創設者兼ショーディレクターの バヴナ・ニハラニ(Bhavna Nihalani) は、「IATFは世界最高水準の出展者が集う“究極のソーシング・デスティネーション”だ」と述べ、同イベントの役割を強調した。
会場にはフランス、英国、米国、トルコ、日本など、主要ファッションマーケットが一堂に集結。国際サプライチェーンの“今”を俯瞰できる構成となり、特に中国とインドは大規模なデレゲーションを派遣することで、アジア市場の存在感を強くアピールしていた。

初登場「Moda Sole & Accessories」が導く、新たな“完全調達エコシステム”
今回のハイライトのひとつが、今回初めて設けられた Moda Sole & Accessories エリア である。70以上のブースが集結し、フットウェア、ハンドバッグ、レース、トリム、プレミアムアクセサリーまで、多様なプロダクトカテゴリーが一気に強化された。
この新エリアの登場によって、IATFは素材から完成品、さらにアクセサリー領域までをカバーする、いわば “フルサプライチェーン型” の展示会 へとアップデートされた形だ。
出展者・バイヤーからは、「オンライン検索や単発の出張では決して得られない、立体的で包括的な調達体験ができる」と評価されており、IATFが提供するソーシングの独自性がより鮮明になった。
サステナビリティ、循環型デザインが主要テーマに
さらに今回のIATFでは、サステナブル素材や循環型デザイン、エシカル生産といったキーワードが、これまで以上に強く打ち出された。各国の出展者は、素材開発から製造工程に至るまで、環境負荷を抑える取り組みを具体的に提示し、国際市場で高まる“責任あるブランド経営”への要請に応える姿勢を明確にした。

Hosted Buyers Programが1,000件超の商談を創出
IATFの強みである Hosted Buyers Program も、今年はさらなる進化を遂げた。GCC諸国をはじめ、インド、欧州各国の主要リテール、調達オフィス、流通企業が招待され、1,000件以上のビジネスマッチングが実現した。
このプログラムを通じ、出展企業はより精度の高い商談機会を得ることができ、すでに複数の案件が長期的なパートナーシップ構築へと動き始めている。これは、IATFが“中東の戦略的ソーシングハブ”としての存在感が確立していることを示す象徴的な成果であると言える。
次回開催は2026年5月
なお、次回IATFは、2026年5月18〜20日にドバイ・ワールド・トレード・センター ホール3&4で開催予定。メンズ、ウィメンズ、キッズウェアブランド向けに、さらに拡張された国際的ソーシング・ネットワークを提供する。すでに出展申込はスタートしており、フロアプランは公開直後から申し込みが殺到。残枠は限られているという。
ドバイは、欧州ブランドの市場拡張、アジアブランドの進出、中東独自ブランドの台頭が交差する国際色豊かなマーケットとなっており、日本ブランドにとっても参入余地は大きい。素材、OEM、デザイナーズブランドのいずれにとっても、IATFは中東市場攻略の重要なゲートウェイとなるだろう。
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