フランスのラグジュアリーメゾン「ディオール(Dior)」は、ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson) による初のクルーズコレクションを、2026年5月13日(現地時間)にロサンゼルスで開催することを発表した。現時点で会場の詳細は明かされておらず、詳細は後日伝えられる。
ロサンゼルスという舞台が持つ意味
今回の発表は、ディオールがロデオドライブに新たな大型旗艦店をオープンした直後のタイミングでもある。同店舗はアメリカ人建築家のピーター・マリーノ(Peter Marino)による設計で、LVMHのラグジュアリーブティックを数多く手掛けてきた彼の美学が随所に反映された象徴的な存在だ。
ロサンゼルスを舞台に選んだ理由についてディオールは明言していない。しかし、近年の市場動向を踏まえると、その意図は明らかだ。アメリカは依然として世界最大級の高級消費市場であり、観光需要の回復やドル安による購買力の高まりを背景に、ラグジュアリー消費が再び活発化している。こうした市場環境を捉え、主要ラグジュアリーブランドが競うようにアメリカへ回帰している事実は、ディオールの今回の判断が単なる偶然ではなく、戦略的な必然であることを物語っている。
ラグジュアリーブランドが相次いでアメリカへ回帰
今回のディオールの発表に先立ち、数日前にルイ ヴィトン(Louis Vuitton)は、クルーズ2027コレクションを5月20日(現地時間)にニューヨークで開催することを発表。また、シャネル(Chanel)も2025年12月2日(現地時間)にニューヨークで「メティエダール」コレクションを予定しており、フランスを代表する三大メゾンが揃ってアメリカ市場へと戻ってくる。
さらに先月には、米Vogueが『ヴォーグ ワールド(Vogue World)』の第4弾としてハリウッドで「Vogue World 2025: Hollywood」を開催したことも話題を呼んだ。ロサンゼルスの歴史あるパラマウント・ピクチャーズ・ロットには、モデル、俳優、ダンサー、ミュージシャンが集結し、映画の名作衣装と最新のファッションコレクションを融合させたシネマティックな演出がなされた一夜となった。
なお、ディオールがアメリカを舞台にクルーズショーを行うのは今回が初めてではない。2017年には当時のアーティスティックディレクターのマリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri) がカラバサスでウェスタンスタイルのショーを開催し、2023年にはディオール メンズを率いるキム・ジョーンズ(Kim Jones)がベニスビーチでリゾートコレクションを披露している。
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