アーティスティック・ディレクターのデムナ(Demna)率いるグッチ(Gucci)は、2027年クルーズ コレクションを、2026年5月16日(現地時間)にニューヨークで披露することを発表した。これは、2026年2月に予定されているデムナ体制初のファッションショーに続く大型プロジェクトであり、グッチにとって新章の幕開けを象徴するイベントとなる。
ニューヨークが持つ歴史的意義
ニューヨークは、グッチにとって特別な意味を持つ都市である。1953年、同ブランドが初めてイタリア国外に店舗を構えた地であり、ここを起点にグッチはグローバルブランドとしての成長を加速させた。今回のクルーズコレクションの開催は、その原点に光を当てつつ、「創造性」「文化的対話」というブランドのコアバリューを現代的に再解釈する試みだといえる。
グッチは発表に際し、ニューヨークを“大胆なヴィジョンとモダニティが交差する都市”と表現。新たな創造性を育む象徴的な舞台として、この地から次の時代に向けてクリエイティブな一歩を踏み出すとした。
1921年にフィレンツェで創業したグッチは、クラフツマンシップとイタリアンラグジュアリーを象徴するブランドとして世界的地位を築いてきた。現在は、社長兼CEO フランチェスカ・ベレッティーニ(Francesca Bellettini) とデムナの体制のもと、伝統と革新を軸にブランドの再定義に挑んでいる。
“アメリカ回帰”で存在感を強めるラグジュアリー勢の動き
また、今回のグッチの決断は、近年顕著になっているラグジュアリーブランドのアメリカ回帰トレンドの延長線上にある。
アメリカは依然として世界最大級の高級消費市場であり、観光需要の回復やドル安による購買力の上昇を背景に、ラグジュアリー消費が再び活況を取り戻している。こうした市場環境を踏まえれば、主要ブランドが次々とアメリカを舞台に選ぶ理由は明白だ。
実際、ルイ ヴィトン(Louis Vuitton)は、2027年クルーズコレクションを2026年5月20日(現地時間)にニューヨークで開催すると発表。さらに、ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)が手がける初のディオール(Dior)のクルーズショーも、2026年5月13日(現地時間)にロサンゼルスでの実施が決定している。
加えて、シャネル(Chanel)は来月2日(現地時間)にニューヨークで「メティエダール」コレクションを披露する予定だ。
このように、欧州の名門メゾンが相次いでアメリカを選ぶ現状は、同国が再びファッションの主要発信地として強い存在感を取り戻していることを象徴していると言えるだろう。

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