ラグジュアリーEC市場の再編が進む中、11月25日(現地時間)、デジタル・マルチブランドグループの「ラクスエクスペリエンス(LuxExperience B.V.) が、傘下の「マイテレサ(Mytheresa)」 の新CEOにフランシス・ベラン(Francis Belin)を任命すると発表した。グループ全体を統括するマイケル・クリガー(Michael Kliger)CEO に直属し、マイテレサのグローバル展開を引き続き加速させる方針だ。就任は2026年1月1日付。
近年、マイテレサは富裕層向けラグジュアリープラットフォームとして独自の存在感を高めており、2025年度の流通取引総額は9億8,850万ユーロを記録。競争が激化するラグジュアリーEC市場において、同社は「高額消費者への特化」という明確な差別化戦略で成長を続けてきた。
今回CEOに就任するベランは、クリスティーズのアジア太平洋プレジデントとして数々の大型取引や買収を主導し、富裕層マーケットへの深い理解を持つ人物だ。以前はスワロフスキー、リシュモン、マッキンゼーで経験を積み、ラグジュアリー×戦略の両軸に強い。
ベランは今回の就任にあたり「Mytheresaは強固なビジネスモデルと独自のブランド価値を確立しており、その次なる成長フェーズを担えることを光栄に思います」とコメントしている。

現在マイテレサは、1987年のブティック創業からオンライン戦略に舵を切り、現在は250以上の高級ブランドを取り扱う。ラインナップはボッテガ ヴェネタ(Bottega Veneta)、ロエベ(Loewe)、ザ ロウ(The Row)、ヴァレンティノ(Valentino)など、世界を代表するラグジュアリーメゾンが中心で、富裕層市場に特化したコンテンツとサービスが評価されている。
そうした中での今回のCEO交代は、YNAP買収後のラクスエクスペリエンスの再構築が本格的に動き出したこと、そして富裕層向けEC市場そのものが再定義されつつあることを示している。さらに、ラグジュアリー消費が“モノの購入”から“パーソナライズされた独占体験”へと移行する流れも加速しており、マイテレサに求められる役割はこれまで以上に大きくなっている。
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