11月27日(現地時間)、NIGO®がクリエイティブディレクターを務める「ヒューマンメイド(HUMAN MADE)株式会社」が東京証券取引所グロース市場に新規上場を果たした。ファッション、フード、カルチャーを横断する独自の事業モデルを持つ同社にとって、今回の上場はグローバル成長を加速させる大きな節目となるだけでなく、市場でも極めて強い投資家需要を呼び込んだ。
投資家需要は“約60倍”
今回のIPOは、約60倍の需要超過(オーバーサブスクライブ)を記録したと報じられており、機関投資家からの注文は約35倍、個人投資家では約80倍に達したという。
上場時の企業評価額は約 4億6,000万ドル(約720億円)。
この結果、
- NIGO®の持株評価額:推定約2億8,500万ドル(約450億円)
- ファレル・ウィリアムスの25.7%持株:推定約1億1,700万ドル(約180億円)
とされ、両名の資産価値は一気に上昇。IPOに際して、NIGO®は約5,600万ドル、ファレルは約3,300万ドル分の株式を売却したと報じられている。
初値は 3,440円(公開価格比 +9.9%) と堅調なスタートを切り、既存の日本のファッション企業を上回る評価倍率を獲得した。この熱狂的な初値買いは、“カルチャー発のブランドが金融市場でも評価される時代”を象徴する動きといえる。
日本発クリエイティブ産業の次なる柱をつくる企業へ
ヒューマンメイドは、パーパスに 「CULTIVATE CULTURE」 を掲げ、漫画・アニメ・ゲームに続く“次の日本発クリエイティブ産業”を育てることを目指している。
同社のミッションは、「人間の閃きが生み、人間の手が創り出す輝きを、世界へ。」ストリートカルチャーの感性とクラシックへのリスペクトを融合しながら、新しい文化の火種を世界に放つことを企業の核に据える。
事業の中心となるのは、NIGO®が2010年に創業したライフスタイルブランド「ヒューマンメイド(HUMAN MADE)」。アパレルだけでなく、アート性を帯びたプロダクトやコラボレーションによって、国内外のクリエイターから厚い支持を集めてきた。また、東京発の人気カレーショップ 「カリー アップ(CURRY UP)」 の運営、企業とのコラボレーション企画、空間演出、商品開発、ブランディング支援など、ブランドの枠を超えたプロデュース業務も幅広く手がけている。
これら複合的な事業を武器に、ヒューマンメイドは“日本発カルチャー企業”として独自のポジションを確立してきた。
上場で加速するグローバル展開
今回の上場は、同社が掲げる 「東京から世界へ」 というビジョンを力強く後押しするものだ。資金調達、人材強化、海外拠点の拡大など、次の成長ステージに向けた基盤づくりが一気に加速する見通しである。
また、市場での需要の強さは、カルチャー領域のブランドが金融市場においても高く評価される時代 に入ったことを示している。今後、原宿系やクリエイター主導のライフスタイルブランドが上場を視野に入れるケースが増えていく可能性もある。
ヒューマンメイドは、日本のカルチャーの魅力を再定義しながら、国際市場での存在感をさらに高めていくことが期待される。
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