米国ファッションデザイナー協議会 (CFDA)、2026年9月からニューヨーク・ファッションウィークでのファー使用を全面禁止へ

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12月3日(現地時間)、米国ファッションデザイナー協議会 (The Council of Fashion Designers of America, 以下CFDA)は、ニューヨーク・ファッションウィーク(NYFW)における動物ファーの使用を全面的に終了する方針を発表した。公式スケジュール上でファーを推奨しないだけでなく、ファッションカレンダー、ソーシャルメディア、ウェブサイトを含むCFDAの全プラットフォームで、動物ファーのプロモーションを取りやめる。

今回の発表は、ヒュメイン・ワールド・フォー・アニマルズ(Humane World for Animals)およびコレクティブ・ファッション・ジャスティス(Collective Fashion Justice)との継続的な協働を背景としたもので、2026年9月のニューヨーク・ファッションウィークから、公式スケジュールに参加するブランドは動物ファーをコレクションに含めることができなくなる。

対象となるのは、ミンク、フォックス、ラビット、カラクルラム、チンチラ、コヨーテ、タヌキなど、毛皮目的で飼育・捕獲された動物のファー。例外は、先住民族による伝統的な生活狩猟で得られるファーのみと非常に限定的だ。

また、CFDAは今回の移行をサポートするため、代替素材の教育資料や、革新的素材のライブラリー(マテリアルバンク)を提供し、デザイナーがよりサステナブルな素材へ移行できる体制を整える。

CFDAのCEOであるスティーブン・コルブ(Steven Kolb)は、ではすでにほとんどファーは見られませんが、今回の方針により、アメリカのデザイナーが動物に対するファッション業界の影響についてより深く考えるきっかけになることを期待しています」とコメント。

また「消費者は動物虐待と結びつく製品から離れつつあり、私たちはアメリカのファッションをこうした分野のリーダーとして位置づけ、同時に素材革新を促進したいと考えています」と続けた。

世界のファッションウィークと歩調を合わせる動き

今回のCFDAの決定は、すでにファーの使用やプロモーションを禁止しているロンドンをはじめ、コペンハーゲン、ベルリン、ストックホルム、アムステルダム、ヘルシンキ、メルボルンなど、主要都市のファッションウィークの動きと歩調を合わせるものだ。

今年は、ヴォーグ(Vogue)、ヴァニティ・フェア(Vanity Fair)、グラマー(Glamour)などを擁するコンデナストに加え、エル(ELLE)、インスタイル(InStyle)、ハーパーズ・バザー(Harper’s Bazaar)など複数の国際的ファッションメディアでも誌面・広告でのファー使用を禁止する動きが広がり、グローバルで「脱ファー」の動きは一段と加速している。

これについて、コレクティブ・ファッション・ジャスティスの創設ディレクターであるエマ・ホーカンソンは、「CFDAが不倫理的かつサステナブルではない動物ファーを正式に排除したことで、世界の舞台における革新的なファッションカウンシルとしての立場をさらに強固にしました」と評価した。

ヒュメイン・ワールド・フォー・アニマルズのPJ・スミスもまた、「アメリカのファッションに大きな影響力を持つCFDAが、ファーフリーの未来を切り開く役割を果たしたことを称賛します。このような方針こそが、創造性や美しさを損なうことなく、よりクリーンで人道的なファッション業界を実現する素材革新を後押しするのです」とコメントしている。

今回の公式な方針転換により、アメリカのファッション業界はサステナビリティとエシックスを重視する国際的潮流と歩調を合わせることになる。2026年9月以降のニューヨーク・ファッションウィークは、使用素材の選択を通じてブランドの理念や価値観が一層鮮明に問われる舞台へと進化していきそうだ。

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