カルバンクライン（Calvin Klein）、ニューヨークのソーホーに新グローバル旗艦店をオープン

12月9日（現地時間）、カルバンクライン（Calvin Klein）は、ニューヨーク・ソーホーのブロードウェイ530番地に新たなグローバル旗艦店をオープンした。同ブランドの創業地であるニューヨークへ再び拠点を構える今回の動きは、ブランドの成長戦略において象徴的な節目となる。

店舗は3,000平方フィート超の販売スペースを持ち、ニューヨークのロフトアパートメントからインスピレーションを得た、温かみのあるミニマルなデザインが特徴だ。木材のオープン天井、鋳鉄の柱、コンクリート床といった意匠が、ソーホー特有の文化や歴史を反映し、カルバン・クラインが掲げるモダンな美学と響き合っている。

外観はブランドのシグネチャーであるチャコールトーンで統一され、ペロン・スタジオ（Perron Studios）と共同制作したシーズナルビジュアルが大きなウィンドウに展開されている。
店内では、ブランドの象徴であるデニムとアンダーウェアを中心に、メンズ・ウィメンズのアパレルやアクセサリーをラインナップ。さらに2026年春からは、「カルバンクラインコレクション（Calvin Klein Collection）」の主要スタイルが期間限定で展開される予定である。

オープンに際し、グローバルブランドプレジデントのデイビッド・サヴマン（David Savman）は「世界で最もファッショナブルな都市のひとつであり、私たちのアイコニックなブランドが誕生した街に、進化したリテール体験を携えて戻ってこられたことを誇りに思います。」とコメント。

さらに、「この新しいグローバル旗艦店は、私たちの象徴的なヒューストン・ストリートのビルボードから数歩の場所にあり、カルバンクラインのニューヨークヘリテージへのオマージュです。これは私たちのリテール体験の進化であり、カルバンクラインという世界の具体的な表現でもあります。カルバンクラインは文化と交わる独自のグローバルな生き方を体現しており、この店舗はブランドを次のレベルへ引き上げる旅の最新のステップとなります」と続けた。

また、PVHコープ（PVH Corp.）CEOのステファン・ラーソン（Stefan Larsson）は、ブランドとニューヨークとの強い結びつきを次のように語る。

「ニューヨークはカルバンクラインのDNAの中心にあります。この“ホームカミング”は、カルバンクラインを世界で最も魅力的なライフスタイルブランドのひとつへと成長させる上で重要なマイルストーンです。私たちは一歩一歩、ブランドの関連性を深め、消費者エンゲージメントを高め、北米およびグローバルでのブランドポジションを強化しています。」

空間デザインに宿る“ソーホーの美意識”

店舗デザインには、「歴史あるソーホーのロフトへ移り住む瞬間」を想起させるコンセプトが一貫して息づいている。3Dスカルプトのソファやチェア、螺旋階段を思わせる造形、さらに引っ越し用の木箱を転用したディスプレイが、空間に軽やかな遊び心と物語性を与えている。

こうした要素がミニマルな美学と融合することで、店内は単なる販売空間を超え、ブランドストーリーが立ち上がる舞台として機能している。さらに、床から天井まで弧を描くデジタルスクリーンがキャンペーン映像を映し出し、カルバンクラインがカルチャーと交差する瞬間をダイナミックに可視化する設計となっている。

ブランド再編と成長加速の潮流

なお、今回の出店は、パリおよび東京での旗艦店オープンに続く動きであり、ブランドがグローバルで「プレミアムライフスタイル空間」の構築に注力する戦略の一環である。

近年のカルバンクラインは、クリエイションと経営の両面で刷新を進めている。2024年にはヴェロニカ・レオーニ（Veronica Leoni）をコレクション・クリエイティブ・ディレクターに起用し、2025年秋にはメンズ・ウィメンズ、アンダーウェア、アクセサリーを横断する包括的なコレクションでランウェイ復帰を果たした。

経営面でも動きがあり、今年5月にはデイビッド・サヴマン（David Savman）がグローバルブランドプレジデントに就任。PVHコープでの豊富な経験を背景に、ブランドの再編とグローバル戦略の加速を牽引している。また、PVHコープの全体の業績も堅調で、2025年第2四半期は売上高が前年同期比4％増、利益も市場予想を上回った。

これら一連の動きは、カルバンクラインがクリエイティブ刷新と経営強化を同時に進めることで、グローバル市場での存在感を着実に高めていることを示している。