12月11日(現地時間)、米アスレチックアパレル大手のルルレモン・アスレティカ(lululemon athletica inc.)は、CEOのカルバン・マクドナルド(Calvin McDonald)が2026年1月31日付で退任することを発表した。あわせて取締役会は、外部の大手エグゼクティブ・サーチ会社と連携し、次期CEOの選定プロセスに着手する。
マクドナルドはCEOおよび取締役を退任後、2026年3月31日までシニア・アドバイザーとして同社を支援し、円滑な経営移行を後押しする。
経営移行期の体制:エグゼクティブ・チェアと暫定共同CEO
今回の発表に伴い、取締役会議長を務めるマーティ・モーフィット(Marti Morfitt)は、即日付でエグゼクティブ・チェアに就任した。CEO交代という重要な局面において、短期および中長期の成長戦略の実行を監督し、経営の安定と継続性を担保する役割を果たす。
また、マクドナルドの退任後は、最高財務責任者(CFO)のメーガン・フランク(Meghan Frank)と、最高商務責任者(CCO)のアンドレ・マエストリーニ(André Maestrini)が暫定共同CEOとして経営を担う。両名はいずれもグローバル小売分野において豊富な経験を有し、これまでルルレモンの成長を中核から支えてきた実績を持つ経営陣であり、次期CEOが決定するまでの移行期間において、事業全体を力強くリードしていく構えだ。
マクドナルド体制で売上3倍超、中国は第2の市場へ
マクドナルドは2018年にルルレモンへ入社。在任期間中、同社の年間売上高は3倍以上に拡大しており、2025年においては、年間売上高110億ドルを見込んでいる。その成長は北米にとどまらず、事業展開地域は30以上の国・地域へ拡大。とりわけ中国本土市場は、現在では同社にとって第2の規模を誇る主要市場へと成長している。
商品戦略面では、従来のヨガやトレーニングに加え、テニスやゴルフといった高需要カテゴリーへの本格参入を進め、アスレチックとライフスタイルを横断するプロダクトポートフォリオを構築。ルルレモンの“カテゴリーリーダー”としての立ち位置をより強固なものにした。
マクドナルドは退任について、次のようにコメントしている。
「ルルレモンのCEOを務めた7年間は、私のキャリアにおいて最も誇り高い時間でした。私たちはアスレチックアパレル業界そのものを変革してきました。構築してきた商品パイプラインと戦略は、今後も株主価値を生み出し続けると確信しています。」
一方、モーフィットも、マクドナルドの功績を次のように評価した。
「カルバンは、ルルレモンを世界屈指のブランドへと成長させました。差別化された製品と体験を通じ、世界中のゲストとの強い関係性を築いてきたことに深く感謝しています。」
取締役会としては、今後について「成長と変革をリードできる次世代CEOの選定」に注力するとしており、移行期間中も事業執行にスピード感を持って取り組む姿勢を強調している。
次期CEO像と成長戦略の継続性
ルルレモンは現在、グローバル拡張とカテゴリー拡大の両面で転換点にある。今回のCEO交代は、成長が一巡した後の「次のフェーズ」を見据えた戦略的判断と見ることもできる。
暫定共同CEO体制のもと、ルルレモンは中国市場を軸とした国際展開をいかに加速させていくのか、そしてテニスやゴルフといった新カテゴリーの成長をどのように次の柱へと育てていくのかが注目される。同時に、ブランド体験の深化とプロダクトイノベーションを持続的に進化させながら、これまで築いてきたカテゴリーリーダーとしてのポジションをいかに強化していくのかも重要な論点となる。
こうした戦略を継承し、さらなる成長フェーズへ導く次期CEOには、グローバル視点と変革を推進する実行力が強く求められるだろう。ルルレモンの次章に、業界の視線が集まっている。
Copyright © 2025 Oui Speak Fashion. All rights reserved.