ショッピファイ(Shopify)、AI会話内で商品販売を可能にする「Agentic Storefronts」を発表

Shopify

12月10日(現地時間)、世界最大級の独立系Eコマースプラットフォームであるショッピファイ(Shopify)は、AIプラットフォーム上で新たな購買体験を実現する「ショッピファイ・エージェンティック・ストアフロントズ(Shopify Agentic Storefronts)」を発表した。

この新機能エージェンティック・ストアフロントズの特徴は、チャットGPTChatGPT)やパープレキシティ(Perplexity)、マイクロソフト・コパイロット(Microsoft Copilot)といったAI会話型プラットフォーム内で、ユーザーが商品を発見し、そのまま購入までを完結できることだ。検索から決済までを、AIとの会話の流れの中で完結させる仕組みになのだ。

AI会話の場で“売れる”ストアフロントへ

ショッピファイを利用するブランドは、エージェンティック・ストアフロントズを導入することで、AI上で即座かつ正確に発見されるようになる。管理画面で一度設定するだけで、AI会話が行われるあらゆる場面で商品販売が可能となり、AIプラットフォームごとの個別連携は不要。

商品情報や価格、在庫状況も常に最新の状態に反映され、購入はショッピファイの決済機能を通じて行われる。これにより、AI経由の売上に対する正確なアトリビューション、トラッキング、データ分析が可能となる。

さらに、顧客は会話の流れの中で商品を発見し、質問を重ねながら最適な商品にたどり着き、そのまま購入できる。一方、ブランド側はAI経由の購買行動をエンドツーエンドで把握できる。

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「どこで売るか」も「どう見せるか」もブランド次第

この新機能についてショッピファイは、AI上での販売がブランドの独自性を損なうものではないことも強調している。エージェンティック・ストアフロントズでは、商品がどのAIプラットフォームに、どのように表示されるかをブランド自身がコントロールできるからだ。

商品は、あらかじめ定義したスキーマやメタフィールドに基づいて構造化され、AIが正確に理解・提示。また、ナレッジ・ベース・アプリ(Knowledge Base App)を通じて、ポリシーやFAQ、ブランドトーンを管理することで、AIが顧客からの質問に一貫した回答を行えるようになる。

さらに、管理画面ではAIチャネル別の注文状況や検索トレンド、顧客が実際に投げかけている質問内容を把握でき、AI上でブランドがどのように認識されているかを分析することが可能だ。

ショッピファイのプロダクト担当VP、ヴァネッサ・リー(Vanessa Lee)は次のように述べている。

「AIは、これまで実現できなかった体験を構築するための新しいツールです。新しい購買体験が次々と生まれる時代において、Shopifyはマーチャントが常に強い存在感を持てるよう支援します。ブランドのストーリーをAIチャネル全体で伝え続けられる環境を提供します。」

1つの設定で、すべてのAIプラットフォームへ

このエージェンティック・ストアフロントズの基盤となるのは「ショッピファイ・カタログ(Shopify Catalog)」である。商品データはここからAIチャット全体へ配信・表示される。プラットフォームごとに個別の開発や設定を行う必要はなく、販売したいAIチャネルを選択するだけでよい。

ショッピファイ・カタログは、数百万のマーチャントと商品データをもとに、カテゴリー推定、属性抽出、バリエーション統合、重複商品の整理を行い、AIが理解しやすい構造に変換する。価格や在庫情報はリアルタイムで更新され、成果は管理画面に正確に反映される。

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また、エージェンティック・ストアフロントズを通じた販売において、決算はチャット内で完結させることも、自社ECサイトへ誘導することも可能。購入後体験やCRMもこれまで通り自社で管理出来る。すべての注文はショッピファイの管理画面に集約されている為、ブランドは「販売の場が増えても顧客を失わない」構造を維持できるのだ。

ショッピファイのCEO トビ・リュトケ(Tobi Lütke)は、「すべてのShopifyストアを、デフォルトでエージェント対応にします。AIエージェントがストアを見つけ、商品を理解し、取引を完結できる最も簡単な方法がShopifyです」と語る。

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会話がコマースに変わる時代へ

同社は過去2年間、AIチャネルにおける購買体験を見据えた基盤づくりを進めてきた。ユーザーの会話がそのまま購買行動へとつながる局面を捉えたエージェンティック・ストアフロントズは、まさに、ブランドの商品を適切な形で提示するための仕組みである。

検索や意思決定、購買行動の起点がAIへと移行しつつある現在、AIプラットフォーム上の検索結果は、情報提供の枠を超え、いよいよ販売チャネルとしての役割を担い始めている。従来のブラウザ検索を前提としたインターネットの構造は、確実に再編のフェーズにあると言えるだろう。

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