米国の高級百貨店グループである「サックス・グローバル(Saks Global)」が、経営再建の岐路に立たされている。1億ドル超の債務支払い期限を目前に、チャプター11(米連邦破産法11条)申請を最終手段として検討しているとの報道に続き、CEOの退任見通しが新たに浮上した。
米金融メディアの報道によれば、サックス・グローバルは12月30日までに1億ドルを超える利払い・債務返済を控えており、資金繰りを巡る協議が急速に緊迫。現在は破産申請に限らず、緊急融資の調達や資産売却といった流動性確保策も並行して検討しているとされる。また、一部の貸し手との間では、破産手続き下で事業継続資金を供給するDIPファイナンスを巡る協議も進行中だという。
数十億ドル調達と大型統合、その裏で膨らんだ債務
サックス・グローバルは2024年、再建策の中核として数十億ドルを調達し、「ニーマン・マーカス・グループ(Neiman Marcus Group)」を買収。これにより、サックス・フィフス・アベニュー(Saks Fifth Avenue)、サックス・オフ・フィフス(Saks OFF 5TH)、ニーマン・マーカス(Neiman Marcus)、バーグドルフ・グッドマン(Bergdorf Goodman)が一体化し、テクノロジー主導のラグジュアリー百貨店グループの構築を目指してきた。
しかし、この戦略は同時に財務レバレッジを大きく高める結果となった。2025年春時点で、債券保有者は10億ドル超の評価損を抱え、市場では再建計画の実効性に対する懐疑的な見方が強まっている。
ベンダー問題と在庫不足、業績悪化が顕在化
資金繰りの悪化は、サプライチェーンにも直接的な影響を与えてきた。サックスは2025年6月、支払い遅延に不満を示していた取引先との問題は概ね解消したと説明していたものの、その後も未払いを訴えるベンダーの存在が報じられている。
2025年第2四半期には、売上減少と損失拡大を正式に認め、在庫不足が販売不振の要因であったことを明らかにした。この影響から、年後半に向けた商品供給力への懸念も浮上している。
新展開:CEO マーク・メトリック退任見通しが報じられる
こうした状況の中、経営トップの交代を示唆する新たな報道が加わった。12月28日(現地時間)、米メディア「パック(Puck)」は、サックス グローバルのCEOであるマーク・メトリック(Marc Metrick)が、同社を離れる見通しであることを報じた。
同報道によれば、メトリックはダラスで予定されていたニーマン・マーカス・グループ幹部との会合を欠席したとされる。さらに、パックに対し複数の取引先が、これまで週次でやり取りしていたメトリックとの連絡が途絶えていると証言しているという。
このCEO退任報道は、チャプター11検討が伝えられた後に浮上した動きであり、同社の再建プロセスが新たな局面に入った可能性を示唆している。
会社側は市場への自信を強調
なお、サックス・グローバルは、インディペンデント紙(The Independent)に対し、以下のようにコメントしている。
「主要な金融ステークホルダーと共に、サックス・グローバルの強固で安定した将来を確保し、変革を前進させながら、お客様に卓越した商品、洗練された体験、そしてパーソナライズされたサービスを提供するため、あらゆる可能性を検討しています。」
「重要な点として、ラグジュアリー市場における機会は依然として強く、サックス・グローバルはその中で明確かつ持続的な役割を果たし続けています。」
サックス・グローバルが直面するのは、単なる資金繰りや経営陣の問題ではない。それは、米国におけるラグジュアリー百貨店というビジネスモデルそのものの持続可能性を問う局面であり、今後の判断は業界全体に大きな影響を与えることになりそうだ。
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