『2025年度 CFDA アワーズ』ラルフ・ローレンとトム・ブラウンが栄誉に輝く

CFDA Award 2025

11月3日(現地時間)、アメリカのファッション業界の才能と多様性を称える「2025年度CFDAファッション・アワーズ(The 2025 CFDA Awards)」がアメリカ自然史博物館で開催された。

米国ファッション業界において最も権威ある賞のひとつとして知られるこのアワードは、アメリカファッションデザイナー協議会(Council of Fashion Designers of America, 以下、CFDA)が1981年より毎年開催しており、ウィメンズウェア、メンズウェア、アクセサリー、イノベーション、ジャーナリズム、功労賞など、幅広いカテゴリーで卓越した功績を讃えるものだ。

今年度もアマゾン ファッション(Amazon Fashion)がプレゼンティング・パートナーを務め、グーグル ショッピング(Google Shopping)が年間最優秀新人デザイナー賞(American Emerging Designer of the Year)をサポートした。その他、オフィシャル・ビューティー・パートナーのマック コスメティクス(M·A·C Cosmetics)、オフィシャル・シャンパン・パートナーのクリュッグ(Krug)、そして送迎を担当したリンカーン(Lincoln)が、このイベントを支えた。

壮麗なホールには、煌びやかなドレスとテーラードスーツに身を包んだゲストたちが集結。アーティストでありクリエイターのテヤナ・テイラー(Teyana Taylor)が司会を務め、夜の幕開けを華やかに飾った。

2025年を象徴する受賞者たち

この夜を象徴する栄誉、「アメリカン・ウィメンズウェア・デザイナー・オブ・ザ・イヤー」に輝いたのはラルフ・ローレン(Ralph Lauren)。ナオミ・ワッツ(Naomi Watts)がプレゼンターとして登壇すると、会場は温かな拍手と敬意の空気に満たされた。アメリカン・クラシックの精神を受け継ぎながら、ローレンは長年にわたり“アメリカらしさ”を気品と洗練をもって再定義し続けている。

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「アメリカン・ウィメンズウェア・デザイナー・オブ・ザ・イヤー」を受賞したラルフ・ローレン

一方、「アメリカン・メンズウェア・デザイナー・オブ・ザ・イヤー」の栄冠に輝いたのは、トム・ブラウン(Thom Browne)である。マーク・ロンソン(Mark Ronson)、そしてパブリック スクール(Public School)のデザイナーであるダオ・イー・チョウ(Dao-Yi Chow)とマクスウェル・オズボーン(Maxwell Osborne)がプレゼンターを務め、ブラウンが築き上げた構築的でコンセプチュアルなテーラリングに深い敬意を表した。

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「アメリカン・メンズウェア・デザイナー・オブ・ザ・イヤー」の栄冠に輝いたトム・ブラウン

アクセサリー部門「アメリカン・アクセサリー・デザイナー・オブ・ザ・イヤー」は、アシュリー・オルセン(Ashley Olsen)とメアリー=ケイト・オルセン(Mary-Kate Olsen)による「ザ ロウ(The Row)」が受賞。シンプルでありながら完璧なバランスを追求する美学が、再び高く評価された。プレゼンターはベニート・スキナー(Benito Skinner)とジュエリーデザイナーのジェニファー・フィッシャー(Jennifer Fisher)。

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「アメリカン・アクセサリー・デザイナー・オブ・ザ・イヤー」に選出されたアシュリー・オルセンとメアリー=ケイト・オルセン

さらに、グーグル ショッピングが支援する「アメリカン・エマージング・デザイナー・オブ・ザ・イヤー」には、近年ニューヨーク ファッションウィークでも注目を集めるアシュリン・パーク(Ashlyn Park)が選出された。自身の名を冠したブランド「アシュリン(Ashlyn)」を手がける彼女は、構築的なシルエットに繊細な詩情を宿すデザインで知られる新鋭。プレゼンターを務めたのは、アディソン・レイ(Addison Rae)とクリストファー・ジョン・ロジャース(Christopher John Rogers)。

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「アメリカン・エマージング・デザイナー・オブ・ザ・イヤー」を受賞したアシュリン・パーク(Ashlyn Park)

特別賞が讃えるビジョン

続けて、ファッション・アイコン賞は、プレゼンターのアナ・ウィンター(Anna Wintour)からエイサップ・ロッキー(A$AP Rocky)へと贈られた。音楽とスタイルの融合を通じてカルチャーを動かす彼の存在は、まさに“現代のアイコン”を体現している。

サラ・ムーンヴェス(Sara Moonves)(『W Magazine』編集長)は、ジェニファー・ローレンス(Jennifer Lawrence)からユージニア・シェパード記念メディア賞を受賞。

ドナテラ・ヴェルサーチェ(Donatella Versace)はアンバー・ヴァレッタ(Amber Valletta)とアリアナ・デボーズ(Ariana DeBose)からポジティブ・チェンジ賞を授与され、ブランドとしての社会的責任を改めて示した。

また、ジュリアン・ムーア(Julianne Moore)はシンシア・ローリー(Cynthia Rowley)に創設者賞(Founder’s Award/エレノア・ランバート記念)を授与。

エイヴァ・デュヴァーネイ(Ava DuVernay)は、「フィア オブ ゴッド(Fear of God)」のジェリー・ロレンゾ(Jerry Lorenzo)にイノベーション賞(Amazon Fashion提供)を授けた。

さらに、ニコール・フェルプス(Nicole Phelps)がアンドレ・ウォーカー(Andre Walker)にイザベル・トレド理事会特別賞を、ナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)がアライア(Alaïa)のピーテル・ミュリエ(Pieter Mulier)にインターナショナル賞を授与。

トム・ブラウンは、長年にわたりアメリカのクラフトマンシップを支えたラルフ・ルッチ(Ralph Rucci)にジェフリー・ビーン生涯功労賞を手渡した。

音楽、映像、そして余韻

授賞式の後、ホストを務めたテヤナ・テイラー(Teyana Taylor)は、その多才な表現力とエネルギーに満ちたパフォーマンスで観客を魅了した。

レスリー・ビッブ(Leslie Bibb)は、ニアン・フィッシュ(Nian Fish)によるアメリカ・ファッションの一年を振り返る映像作品を紹介し、今この時代を映す多様なクリエイションの軌跡をスクリーンに描き出した。

続いて登場したのは、英国出身のシンガー、オリヴィア・ディーン(Olivia Dean)。新作アルバム『The Art Of Loving』から「So Easy (To Fall in Love)」を披露し、その澄んだ歌声がホールをやさしく包み込んだ。

レッドカーペットでは、クリエイティブ起業家でメディア・パーソナリティのジェナ・ライオンズ(Jenna Lyons)がホストとして復帰し、知性とユーモアを交えたインタビューで、ゲストたちの魅力を引き出した。

ファッション、テクノロジー、そして文化が交わった昨夜。今年も、アメリカン・ファッションが次なる時代へと歩み出すことを示す、象徴的なひとときとなった。

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