世界を代表するラグジュアリーブランドのルイ ヴィトン(Louis Vuitton)は、このたび、中国、北京の三里屯エリアに新たな旗艦店「メゾン ルイ ヴィトン サンリトゥン」をオープンした。同旗艦店の設計を手がけたのは、日本人建築家の青木淳(Jun Aoki)。東京の並木通り、大阪の御堂筋に続く、同氏にとって3つ目のルイ ヴィトン旗艦建築となる。
北京の中でもトレンドと商業が交差する三里屯という立地において、同プロジェクトは単なる店舗建築ではなく、リテール、ホスピタリティ、展示機能を統合した体験型フラッグシップとして構想された。
ドレスから建築へ 透過するファサードの思想
建物の最大の特徴は、有機的で流動的なフォルムを持つ半透明のガラスファサードだ。外装は300点以上の手作業による曲面ガラスパネルで構成され、光の角度や時間帯、季節の変化に応じて色調が移ろう。

このファサードは、ルイ ヴィトンのウィメンズ・アーティスティック・ディレクター、ニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquière)が2016年春夏ウィメンズコレクションで発表したドレスに着想を得ているという。
ルイ ヴィトンは声明の中で「ファサードは、形態・光・動きが詩的に交錯するドレスを想起させる、エレガントで光に満ちた半透明の衣服として構想されました」と説明。
また青木自身も、この建築を貫くコンセプトについて、「岩であり、同時にドレスでもあるという考え方が、このプロジェクト全体を通しての指針となりました」と語っている。
ヴァーティカル・アトリウムを軸とした内部構成
店内は、3層にわたって立ち上がるヴァーティカル・アトリウムを中心に設計された。このアトリウムが空間全体の軸となり、ウィメンズエリアを中心に、自然光をファサード越しに建物内部へと導く。上下階が視覚的につながることで、フロア間の連続性と開放感が生まれている。
店舗は4フロア構成となっており、ウィメンズおよびメンズのレザーグッズ、プレタポルテ、シューズ、ジュエリー、アクセサリー、フレグランス、ビューティーまで、ルイ ヴィトンの主要カテゴリーを網羅する。エスカレーターや階段といった垂直動線は、視線を遮らない位置に配置され、都市、建築、内部空間が一体として認識される明快な空間設計となっている。
3階には、ホーム・コレクションのための専用エリアを設置。パトリシア・ウルキオラ(Patricia Urquiola)やクリスティアン・モハデッド(Cristian Mohaded)による家具やテーブルウェアが、一般的なブティックとは異なり、住空間に近いスケールと落ち着いた空気感の中で展示されている。
北京初の〈ル・カフェ ルイ・ヴィトン〉
さらに最上階には、北京で初となる〈ル・カフェ ルイ・ヴィトン〉がオープンした。来訪者はまず、鏡張りの前室へと導かれ、反射によって奥行きが強調された空間体験を経て、メインのダイニングエリアへと進むようになっている。
屋外にはルーフトップテラスも設けられ、三里屯の街並みを望みながら過ごせる社交の場として機能する。リテールとホスピタリティを融合させるという、近年ルイ ヴィトンがグローバルで推進している戦略を象徴する空間である。
体験型ラグジュアリーの現在地
青木淳とルイ ヴィトンの25年以上にわたる協働関係の中でも、このプロジェクトは文化的文脈と技術的洗練が最も明確に結びついた一つである。
光と素材によって変化し続けるこの「メゾン ルイ ヴィトン サンリトゥン」は、建築、ファッション、デザイン、都市体験を横断する存在として、北京におけるラグジュアリー・リテールの新たな基準を示していくだろう。

Copyright © 2026 Oui Speak Fashion. All rights reserved.




