サックス グローバル(Saks Global)、チャプター11を申請

Saks Global

1月14日(現地時間)、米国の高級百貨店グループであるサックス グローバル(Saks Global)は、米連邦破産法第11章(チャプター11)の適用を申請したと発表した。競争が激化するラグジュアリー市場において事業基盤を再構築するため、同社は約17億5,000万ドル規模の資金調達コミットメントを確保し、再編プロセスに入る。

サックス グローバルはニューヨークを拠点とする非公開企業で、「サックス フィフス アベニュー(Saks Fifth Avenue)」「バーグドルフ グッドマン(Bergdorf Goodman)」、「ニーマン マーカス(Neiman Marcus)」といった米国を代表する高級百貨店ブランドを傘下に持つ。申請先はテキサス州南部地区の連邦破産裁判所である。申請先はテキサス州南部地区の連邦破産裁判所である。

今回の申請は、事業停止を意味するものではない。公式発表によれば、全ブランドの店舗およびECは通常通り営業を継続し、顧客向けプログラム、取引先への支払い、従業員の給与・福利厚生も維持される見通しである。

経営トップの交代と再建体制の再構築

今回の破産申請に先立ち、経営体制も大きく揺れ動いた。2024年に26億5,000万ドルで実施したニーマン・マーカス買収は、業界再編を見据えた大胆な一手だった一方で、結果として財務負担を一段と重くした。

この過程で、最高経営責任者(CEO)であったマーク・メトリック(Marc Metrick)は1月初旬に退任。その後、エグゼクティブ・チェアマンのリチャード・ベーカー(Richard Baker)がCEOに就任したが、ベーカーも1月13日付で両職を辞任している。

現在は、ニーマン マーカスの再建を率いた実績を持つジェフロワ・ヴァン・レムドンク(Geoffroy van Raemdonck)がCEOに就任。さらに、元ニーマン マーカス グループの幹部を中心とした新たな経営陣が組成され、再建フェーズに本格的に踏み出した。

ヴァン・レムドンクは次のように述べている。

「これはサックス グローバルにとって極めて重要な転換点であり、この先に広がる道のりは、事業基盤を強化し、将来に向けて会社を位置づけ直す大きな機会をもたらします。新たに任命されたリーダーたち、そして組織全体の仲間と緊密に連携しながら、お客様とラグジュアリーブランドへのサービスを最優先に、このプロセスを共に乗り越えていきます。CEOとして、そしてサックス・グローバルがラグジュアリー小売の未来を形づくる中心的存在であり続けるための変革を進めていけることを楽しみにしています。」

財務再編の中身と今後の焦点

今回確保された資金は、シニア担保付社債保有者グループからの15億ドルと、資産担保型融資による約2億4,000万ドルの追加流動性で構成される。裁判所の承認後には、10億ドル規模のDIPファイナンスが即時に供給され、年内の再建完了を見据えた追加資金5億ドルもコミットされている。

同社は今後、長期的な成長余地が最も大きい領域に資源を集中させるため、事業拠点や運営体制の見直しを進める方針だ。これは単なるコスト削減ではなく、百貨店という業態をどのように再定義するかという戦略判断に直結する。

サプライヤーと業界への影響

一方で、取引先、とりわけ独立系および新興ブランドの間では警戒感が広がっている。サックス関連チャネルが売上の40〜50%を占めるケースもあり、再編の進捗次第では資金繰りや在庫管理に大きな影響を及ぼしかねない。

ラグジュアリー百貨店業界全体を見渡しても、再編の波はサックス・グローバルに限ったものではない。ニーマン マーカスは2020年に一度チャプター11を経験し、「ロード・アンド・テイラー(Lord & Taylor)」は実店舗を閉鎖。ノードストローム(Nordstrom)は非公開化を選択し、カナダ最古の企業であるハドソンズ ベイ(Hudson’s Bay)は大規模な店舗清算に踏み切っている。

再編は「終着点」ではなく「再定義の始まり」

今回のサックス グローバルのチャプター11申請は、ラグジュアリー百貨店というビジネスモデルそのものが、テクノロジー、消費者意識、ブランド戦略の変化を受けて再定義を迫られている現実を象徴する出来事である。

再編の成否を分けるのは、財務再構築だけではない。顧客体験、ブランドとの関係性、そしてサプライチェーンを含むエコシステム全体を、いかに次の時代に適応させられるか。その答えが、サックス グローバルの未来を左右することになる。

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