1月15日(現地時間)、ニューヨーク州立大学(SUNY)傘下で、クリエイティブ教育の世界的名門として知られるファッション工科大学(Fashion Institute of Technology、以下 FIT)は、新学長にジェイソン・S・シュプバック(Jason S. Schupbach)を迎えたことを発表した。高等教育機関でのアート・デザイン分野における指導力と、政府レベルでの芸術支援という二つの顔を持つシュプバック氏の就任は、8カ月に及ぶ全国規模の選考プロセスを経て、SUNY理事会により全会一致で承認された。
約30年の歴史に幕、新時代の幕開け
シュプバックは、約30年間にわたりFITを率いてきたジョイス・F・ブラウン(Joyce F. Brown)博士の後任となる。ブラウン前学長が築いた学術的卓越性の伝統と、幅広い学生へのアクセスを重視する姿勢を継承しながら、新たな発展を目指す。
就任初日、シュプバック新学長はその抱負を次のように語った。
「私は、21世紀のクリエイティブなキャリアのための実験室としてのFITが、学問分野を超えた協働、学部を超えた協働、そして業界との意義ある提携関係の構築において、最大の機会を見出していると信じています。この素晴らしい基盤の上に、学術的厳格性、起業家精神、革新性、そして学生の成功へのさらなる道筋を開くために、FITコミュニティと協力していくことを楽しみにしています。」
SUNYのジョン・B・キング・ジュニア(John B. King Jr.)総長は、「FITは高等教育における強豪校であり、シュプバック学長がこの著名なSUNY機関の舵取りを始めることを歓迎できることを嬉しく思います」と述べ、「学術的卓越性への献身と学生の成功を支援する意欲により、彼はFITを新たな高みへと導くのに十分な立場にあります」と続けた。
また、FIT理事会議長のロビン・バーンズ=マクニール(Robin Burns-McNeill)も歓迎の次のようにコメントを寄せた。
「ジェイソン・シュプバック氏をFITの新学長として正式に迎えることを大変嬉しく思います。高等教育とクリエイティブおよび文化的団体の両方における卓越した経歴を持ち、複雑な組織の管理と芸術の擁護における認められたリーダーとして、シュプバック学長はこの世界クラスの機関の使命を推進する上で、かけがえのない存在となるでしょう。」
産学連携で実績を積んだキャリア
シュプバックは、FIT着任前はドレクセル大学(Drexel University)のアントワネット・ウェストファル・メディア・アーツ・アンド・デザイン・カレッジ学部長を務めていた。同大学では資金調達、ランキング向上、学術成果、入学者数の増加、そして教職員・学生支援の充実において顕著な成果を上げた。特筆すべきは、アパレル企業URBNとの協働による革新的な徒弟制度型教育モデルの立ち上げだ。また、2025年に出版された『The Routledge Handbook of Urban Cultural Planning』の共同編集者としても知られる。
ドレクセル大学以前は、アリゾナ州立大学(ASU)のデザイン・スクールのディレクターとして、21世紀のデザイン教育を根本から見直す野心的なプロジェクト「ReDesign. School」を指揮した。さらに、現代美術家ジェームズ・タレル(James Turrell)の大規模ランドアート作品「ローデン・クレーター(Roden Crater)」をはじめとする、ASUの多様なプロジェクトで主要アドバイザーを務めた実績を持つ。
シュプバックのキャリアで特徴的なのは、政府レベルでの芸術支援における豊富な経験である。全米芸術基金(NEA)では、デザインおよびクリエイティブ・プレイスメイキング・プログラムのディレクターとして、助成金交付やパートナーシップを統括した。「Our Town」や「Design Art Works」といった助成プログラム、市長向け都市デザイン研究所、市民向け農村デザイン研究所など、幅広いイニシアチブを監督している。
また、米国のアーティストやデザイナーを取り巻く状況を分析した10年ぶりの報告書「Creativity Connects」の制作を指揮し、クリエイティブ人材と他分野との協働を支援する新たな助成プログラムも立ち上げた。
さらに遡れば、2008年から2010年まで、マサチューセッツ州のデヴァル・パトリック(Deval Patrick)知事の下でクリエイティブ・エコノミー・ディレクターを務め、州内のクリエイティブ産業とテクノロジー企業の支援を担当した経験も持つ。フォード財団が資金提供するアーティストリンク(ArtistLink)のディレクターとしては、手頃な価格のスペース創出を通じて、クリエイティブ人材を支援しコミュニティの活性化に取り組んだ。
その他、シカゴ市長やニューヨーク市文化局での勤務経験もあり、クリエイティブ人材の支援とコミュニティにおけるアートとデザインの役割について多数の論文を執筆している。その著作はアスペン研究所の「本日のベストアイデア」に選出されたこともある。
学術的背景
学術的背景においては、シュプバックは2003年にマサチューセッツ工科大学(MIT)で都市計画修士号と大学院レベルの都市デザイン修了証を取得している。学部時代の1997年には、ノースカロライナ大学チャペルヒル校で公衆衛生学の理学士号を取得した。
クリエイティブ人材の支援システムと、創造性を軸とした包括的なコミュニティ開発の専門家として全国的に認められているシュプバック。その豊富な経験と実績は、ファッションとデザインの教育機関として世界的な地位を確立しているFITにとって、新たな可能性を切り開く原動力となるだろう。
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