1月20日(現地時間)、ボッテガ ヴェネタ(Bottega Veneta)で約6年間CEOを務めてきたバルトロメオ・ロンゴーネ(Bartolomeo Rongone)が、3月31日付で同ブランドを退任し、4月1日付でモンクレール グループ(Moncler Group)のCEOに就任することが明らかになった。
この人事に伴い、モンクレールの会長兼CEOを務めてきたレモ・ルッフィーニ(Remo Ruffini)は執行会長へと役割を移行する。今後もクリエイティブディレクションの責任を担いながら、ガバナンスおよびグループ全体の戦略的方向性の策定において中心的な役割を果たしていく。
ロンゴーネがボッテガ・ヴェネタで残した足跡
ロンゴーネは2019年9月、クラウス=ディートリッヒ・ラーズ(Claus-Dietrich Lahrs)の後任としてボッテガ ヴェネタのCEOに就任した。イタリア出身の彼は、ラグジュアリー業界でマーケットアナリストとしてキャリアをスタートさせた後、2001年にフェンディ(Fendi)へ入社。ビジネスインテリジェンス部門の責任者を経て、サプライチェーン、商品計画、顧客関係管理など事業の中核を担うポジションを歴任している。2012年にケリング(Kering)へ移り、サンローラン(Saint Laurent)でCOOとして製品部門と世界規模の小売業務を統括した経験を持つ。
ボッテガ ヴェネタでの在任期間中は、ブランドの中核である手仕事とクラフツマンシップを軸に、長期的なブランド価値の維持・強化を目的とした経営を行った。短期的な拡大を追うのではなく、流通、価格、顧客体験の管理を通じて、ブランドのポジショニングを明確にする方針を取った点が特徴的である。
2022年には、アイコニックなバッグを対象に無制限の修理・リフレッシュサービスを提供する生涯保証プログラム「サーティフィケート・オブ・クラフト」を導入。製品の長期使用を前提としたこの取り組みは、ブランドの品質への姿勢を明確に示す施策として位置づけられた。
あわせて、卸売チャネルの見直しやマークダウンの廃止を進め、価格と流通の統制を強化した施策により、ブランドの希少性と一貫性の維持を図った。2024年には高級フレグランスラインを発表し、ボッテガ・ヴェネタの世界観を新たなカテゴリーへと広げている。
不動産および拠点戦略においても変化が見られた。ミラノでは、ドゥオーモ大聖堂近くに位置する19世紀の歴史的建造物パラッツォ・サン・フェデーレへオフィスを移転。さらにヴェネツィアでは、15世紀のパラッツォ・ヴァン・アクセルを修復し、展示会や限定イベントの会場として活用するなど、ブランドの活動拠点を通じた文化的発信にも取り組んだ。
また在任中、職人育成を目的とした教育プログラムの整備や、アート・文化分野との継続的な関係構築にも注力。これらの施策は、ブランドの短期的な話題性よりも、長期的な基盤づくりを重視する経営姿勢を反映したものといえる。
ボッテガ ヴェネタの親会社であるケリングのCEO、ルカ・デ・メオは、「過去6年間にわたるロンゴーネのリーダーシップと多大な貢献に感謝します。彼はチームと共に重要なマイルストーンを達成し、ハウスの持続的な発展を支えてきました」とコメント。後任については近日中に発表される見通しだ。
またロンゴーネは、新たな役割について「大きな名誉であると同時に、深い責任を感じています。レモおよび経営チームと共に、ブランドの本質的な価値を尊重しながら、新たな成果へ導いていきたいです」と述べている。
ルッフィーニも、「ロンゴーネとはすぐに価値観とビジョンの強い一致を感じました。組織をより強固で機敏なものへと進化させ、新たな機会を掴むための体制を築いていきます」と期待を寄せた。
組織再編と、変化するラグジュアリー業界の文脈
今回の人事は、モンクレール グループが進める組織再編の一環でもある。ロベルト・エッグス(Roberto Eggs)が3月1日付でチーフ・ビジネス・グローバル市場責任者を退任し、今後は取締役会メンバーとして関与を続けることも発表された。
エッグスは2015年の入社以来、同社の国際展開と流通ネットワークの強化を牽引してきた人物だ。ルッフィーニは「10年以上にわたる貢献に深く感謝しています。彼の経験と視点は今後もグループにとって重要な資産であり続けます」と述べている。
米国市場への注力と、次のフェーズへ
2003年にブランドを買収し、2013年に上場へ導いたルッフィーニの下、フランスのスキー文化を背景に成長してきたモンクレール。2021年にはストーンアイランド(Stone Island)をグループに迎え、次なる成長ステージへと進もうとしている。
なお、モンクレールは、1月31日にアスペンで2026年秋コレクションを発表予定。今後1年間は米国市場への注力を鮮明にしている。

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