オーセンティック・ブランズ・グループが「ゲス(Guess)」を非公開化し、知的財産を51%取得

Guess

1月23日(現地時間)、オーセンティック・ブランズ・グループ(Authentic Brands Group、以下ABG)は、アメリカン・デニムブランドの「ゲス(Guess)」を非公開化したことを発表した。創業から45年を迎えるゲスにとって、同取引はブランドの所有構造と運営体制を再定義する転換点となる。

今回の取引により、ABGはゲスの知的財産の実質51%を取得。残る49%は、創業者であるマルシアーノ(Marciano)一族およびカルロス・アルベリーニ(Carlos Alberini)CEOら既存株主が引き続き保有する。一方、オペレーティング・カンパニーについては現経営陣が100%を保有し、事業運営は従来通り継続される体制が取られる。

ブランドIPの管理と日常的な事業運営を切り分けるこの構造は、ABGが強みとするブランド価値の最大化と、ゲス側が培ってきた経営・クリエイティブの継続性を両立させる狙いがある。

規模とインパクト

現在、ゲスのグローバル小売換算売上高は、約60億ドル規模に達する。今回の取引により、同ブランドはABGのポートフォリオ内で、リーボック(Reebok)に次ぐ第2位の規模を持つブランドとなり、ABG全体の年間小売換算売上高は約380億ドルへと拡大した。

グローバル本部は引き続きスイスに置かれ、デザイン、クリエイティブ、ディストリビューションを横断的に統括する体制は維持される。ブランドのDNAを守りながら、ABGが構築してきたインフラとネットワークを活用した成長戦略が描かれていく。

オーセンティックの創業者兼会長兼CEOであるジェイミー・ソルター(Jamie Salter)は、今回の取引について次のように述べている。

「ゲスの魅力は、卓越したリーダーシップ、象徴的なヘリテージ、そして世界中に広がるライセンシング・パートナーのネットワークなど、すでに確立された強固な基盤にあります。ゲスは、DNAに忠実でありながら進化を続けてきた、稀有なグローバルブランドのひとつです。そのレガシーと、それを支えてきたポール、モーリス、そしてゲスのチーム全体に敬意を表するとともに、次の成長フェーズを加速させるためにパートナーシップを組めることを光栄に思います。」

創業者と経営陣が描く「次のフェーズ」

ゲス共同創業者であり、チーフ・クリエイティブ・オフィサーを務めるポール・マルシアーノ(Paul Marciano)は、45年にわたるブランドの歩みを振り返り、「ゲスは世界的なファッションリーダーへと成長し、オーセンティックの卓越したプラットフォーム、ポートフォリオ、そして成功の実績と結びつくことで、この強固な基盤をさらに発展させ、ブランドを次のレベルへと引き上げることができるでしょう」とコメント。

また、オーセンティックのプレジデントであるマット・マドックス(Matt Maddox)は、ブランド拡張の可能性について、次のように言及している。

「オーセンティックの実績あるブランド構築プラットフォームを通じて、ゲスはこれまでブランドが十分に届いていなかった市場や体験領域へとアクセスできるようになります。カテゴリーおよび地域拡大を支援するスケールされた基盤、スタジオ主導のコンテンツ開発、そして消費者との結びつきを深める没入型ライブ体験などが含まれます。ゲスをポートフォリオに迎えることができ、大変嬉しく思っています。」

さらに、ゲスCEOのカルロス・アルベリーニ(Carlos Alberini)は、非公開化により、「顧客体験の向上、ブランド・パートナーシップの強化、そして業界におけるリーダーシップのさらなる確立に大きな可能性を見出しています。オーセンティックの支援により、事業成長を実現するための柔軟性と追加リソースを得ることができます」と説明した。

ABGの新たなブランド運営モデル

ABGはこれまで、リーボック、ブルックス ブラザーズ(Brooks Brothers)、フォーエバー21(Forever 21)、ノーティカ(Nautica)、エアロポステール(Aéropostale)、ジューシー クチュール(Juicy Couture)など、数多くのブランドでIPホールディング型の運営モデルを採用してきた。いずれも、ABGがブランドの知的財産を保有し、商品開発や小売、地域展開といった日常的な事業運営は、外部パートナーや別主体が担う体制である。

こうしたブランドの多くは、経営不振や破綻を経た後にABGの傘下に入っており、同社のモデルは長らく「ブランド再生」の文脈で語られてきた。一方で、IPとオペレーションを分離するこの手法は、スピードと拡張性をもたらす反面、ブランドの一貫性や中長期的価値をいかに維持するかという課題も内包してきた。

その点において、今回のゲスの非公開化は異なる意味合いを持つ。創業者一族と現経営陣が事業運営の中核に残ったまま、IPの過半をABGに委ねるという選択は、同社のモデルが「再建手法」から「成熟ブランドの次なる成長戦略」へと拡張しつつあることを示している。

ゲスの今後の展開は、レガシーブランドが再成長を図るうえでの一つのケーススタディとして、業界内外から注視されることになりそうだ。

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