2月4日(現地時間)、ファッションショッピングアプリの「リスト(Lyst)」は、2025年第4四半期(2025年10月〜12月)を対象とした「リスト インデックス(The Lyst Index)」を発表し、同期間における最もホットなブランドおよび最もホットな商品ランキングを公開した。今回のレポートを象徴するキーワードは「変化なき革命(Un-Revolution)」であり、ファッション業界が構造的な変化の渦中にある一方で、消費者の購買行動はむしろ安定と既視感へと回帰していることが浮き彫りになった。
業界全体ではクリエイティブ・ディレクターの交代やブランド戦略の見直しが相次いだが、ランキング上位の顔ぶれは前四半期から大きく変わらず、結果として「動かないこと」自体がこの四半期の特徴となった。
最もホットなブランドでは、サンローランが首位を維持
リストによると、サンローラン(Saint Laurent)は引き続き世界で最もホットなブランドとして首位を維持した。第4四半期における需要は前期比で4%増加しており、ヴァンドーム スリングバック パンプス(Vendôme Slingback Pumps)は12月の検索数が33%増となり、ホッテストプロダクトの上位にランクインしている。
上位ではミュウミュウ(Miu Miu)、コス(COS)が引き続き高い支持を集めた。特にコスは、手の届く価格帯と洗練されたデザインを兼ね備えたコンテンポラリーブランドとして、需要が60%増加したとされる。消費者が「失敗しない選択」を重視する傾向が、こうしたブランドの安定した人気につながっている。
ラルフ ローレンとバーバリー、クラシックの再評価
また、今回の指数で存在感を示したのが、クラシックを軸に据えるブランドの伸長である。
ラルフ ローレン(Ralph Lauren)は5ランク上昇し、需要は24%増加した。ホリデーシーズンに広がった「Ralph Lauren Christmas」と称される美学がソーシャル上で話題を集め、ブランドの象徴的なスタイルが改めて支持された形だ。
バーバリー(Burberry)も同じく5ランク上昇し、需要は38%増加。アイコニックなノヴァチェックのカシミアスカーフは検索数が307%増となり、ホッテストプロダクトの上位に入った。
さらに、マッシモ ドゥッティ(Massimo Dutti)は今回初めて指数に登場し、需要は59%増加。パファージャケットがホッテストプロダクトの上位に入り、同カテゴリーへの関心の高さを示した。
クォータージップが象徴する「きちんと感」への回帰
第4四半期の人気商品の首位に立ったのは、ポロ ラルフ ローレン(Polo Ralph Lauren)のケーブルニット・クォータージップである。需要は前期比で75%増加し、今期を象徴するアイテムとなった。
リストはこの動きを、美意識の変化として位置づけている。成熟しつつあるZ世代の消費者が、ストリートやロゴ主導のトレンドから、よりクラシックでスマートなスタイルへと関心を移しているという整理だ。また、ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)によるディオール(Dior)、マチュー・ブレイジー(Matthieu Blazy)によるシャネル(Chanel)での新体制始動が、この流れを後押ししたとも分析されている。
このほか、アークテリクス(Arc’teryx)のビーニー「Bird Head Toque」、クロエ(Chloé)のパディントン バッグ(Paddington Bag)、パーク(PARKE)のモックネック スウェット、ヴィクトリア・ベッカム(Victoria Beckham)のアリーナ ジーンズ(Alina Jeans)などが、今期の最もホットな商品として挙げられている。
A.PRESSEと実用的クラシックの台頭
トップ20圏外ながら急成長を遂げた「Moving Fast」枠では、日本発のA.プレス(A.PRESSE)が検索数191%増を記録した。加えて、フランスのシャツブランド、シャルベ(Charvet)は128%増、英国ヘリテージのバブアー(Barbour)は147%増と、いずれも実用性と耐久性を備えたブランドが名を連ねている。
これらの結果は、装飾性よりも長期的な着用価値を重視する消費者心理を明確に示すものだ。
“ボアコア”は保守ではなく、成熟のサイン
これらの動きが示すのは、消費者がいま、流行の即時性よりも実用性と完成度を軸にした選択へと明確にシフトしているという事実である。クォータージップや定番アウター、上質なシャツに象徴される「ボアコア(BORECORE)」の台頭は、保守ではなく、モダンクラシックを再評価する成熟した判断の表れだ。
一方で、クリエイティブの刷新が続くラグジュアリー市場に対し、消費者は即時的な新しさよりも、完成度と信頼性を重視する姿勢を見せた。その結果として、価格と品質、信頼性のバランスに優れたコスやマッシモ ドゥッティといったアクセスしやすいコンテンポラリーブランドが需要を大きく伸ばし、第4四半期の「黄金期」を制した。リスト インデックスQ4 2025は、こうした消費者心理の変化を、明確な数値として映し出した結果である。
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