AI嗅覚プラットフォーム「オズモ(Osmo)」が、シリーズBで約70億円を調達 — 香りのデジタル化で産業の再定義へ

OSMO

2月4日(現地時間)、デジタル香料設計を手がける「オズモ(Osmo)」は、シリーズBラウンドにおいて7,000万ドルの資金調達を完了したことを発表した。今回の調達資金は、同社が開発するAI搭載嗅覚技術「嗅覚インテリジェンス」を香料産業だけでなく、ヘルスケアや環境・公共安全分野へと本格展開するために投じられる。

同ラウンドは、トゥー・シグマ・ベンチャーズ(Two Sigma Ventures)が主導し、新たにヴァロー(Valor)、アトリーデス(Atreides)、アンプロ(Amplo)、アルムナイ・ベンチャーズ(Alumni Ventures)、コラブ・ファンド(Collab Fund)、ルミナ・パートナーズ(Lumina Partners)が参加した。さらに、ストライプ(Stripe)のCEO兼共同創業者であるパトリック・コリソン(Patrick Collison)も個人投資家として名を連ねている。これにより同社の累計調達額は1億3,000万ドルに達している。

香りの設計から製造までを担うAI嗅覚プラットフォーム

オズモは、独自に構築した分子データと機械学習、そして人間の創造性を融合させることで、香りの処方設計から製造、パッケージングに至るまで、製品ライフサイクル全体を一気通貫で支援するプラットフォームを提供している。これにより、大手消費財企業は香料コストの削減や市場投入までの時間短縮が可能となり、新興ブランドにとっても、従来は高額だったカスタム香料開発へのアクセスが現実的な選択肢となる。

同社は現在、グローバルな消費財企業から新興ブランドまで、幅広い顧客層に向けてAI嗅覚技術を展開しており、香料開発の民主化を進めている。

投資家が語る「デジタル嗅覚」の可能性

トゥー・シグマ・ベンチャーズのパートナーであり、新たにオズモのボード・オブザーバーに就任したコリン・バーン(Colin Beirne)は、今回の投資について次のように述べている。

「Osmoは、AIにまったく新しい感覚次元をもたらしています。これまで数百万ドルを投じられる一部のブランドにしか開かれていなかったカスタム香料開発を、商業的に成立させながら民主化している点が証明されました。しかし香りは始まりに過ぎません。私たちは、ヘルスケア診断から環境モニタリングまで応用が広がるデジタル嗅覚のインフラ層に賭けています。」

香りを「データ」として扱い、再現・転送可能にする技術は、フレグランス業界のみならず、医療診断や環境監視といった分野においても新たな活用可能性を示している。

業界大手出身者を迎えた新経営体制

資金調達と同時に、オズモは事業拡大に向けた新たな経営陣を発表した。チーフ・コマーシャル・オフィサーには、ユニリーバ(Unilever)やクロロックス(Clorox)、グッドイヤー(Goodyear)などで30年にわたりCPG業界を牽引してきたマイク・リトコスキー(Mike Rytokoski)が就任。チーフ・オペレーティング・オフィサーには、ジボダン(Givaudan)やアイ・エフ・エフ(IFF)などで香料業界の実務経験を積んだマテウシュ・ブルザカチ(Mateusz Brzuchacz)が名を連ねる。チーフ・ファイナンシャル・オフィサーには、テスラ(Tesla)やラグニタス(Lagunitas)など高成長企業で財務を統括してきたネイト・ピアソン(Nate Pearson)が就いた。

さらに、インディペンデント・ボード・メンバーとして、ディーエスエム・フィルメニッヒ(dsm-firmenich)やリシュモン(Richemont)で香料事業を率いてきたボエット・ブリンクグレーヴ(Boet Brinkgreve)を迎えている。科学とプレミアム消費財の両分野に精通した人材を揃えることで、商業・オペレーション・財務の各基盤を強化する構えである。

「香りが産業を変える」オズモのビジョン

オズモのCEO兼創業者であるアレックス・ウィルチコ(Alex Wiltschko)は、今回の節目について次のように語っている。

「私たちが築いているのは、香りの力を通じて人の健康とウェルビーイングを向上させる、産業構造そのものを変える技術です。今回の資金調達と新経営陣により、香料業界はもちろん、その先に広がる分野へと嗅覚インテリジェンスを本格的にスケールさせていきます。」

オズモは2022年、ウィルチコがグーグル・ブレイン(Google Brain)からスピンオフする形で創業された。2024年には、人の介在なしに香りを完全にデジタル化する「香りの瞬間転送技術」を実現し、業界最大規模の構造化された香りデータライブラリを構築している。今回のシリーズBは、同社が描く「香りの未来」を現実の産業インフラへと押し上げるための重要な一歩である。

Copyright © 2026 Oui Speak Fashion. All rights reserved.