2月6日(現地時間)、ジェネシス(Genesis)と米国ファッション・デザイナー協議会(Council of Fashion Designers of America、以下CFDA)は、「バッド ビンチ トントン(Bad Binch TongTong)」のデザイナー、テレンス・ヂョウ(Terrence Zhou)を、第3回「CFDA|ジェネシス・ハウス AAPI デザイン+イノベーション・グラント」の受賞者に選出したと発表した。
文化的アイデンティティを支援
同グラントは、アジア系・太平洋諸島系(AAPI)デザイナーの創造性と文化的視点を支援するプログラムだ。資金援助に加え、メンタリングや発表の場を通じて、現代的なデザインの中で文化的アイデンティティを探求する取り組みを後押ししている。
最終候補者には、アリナ・リウ(Allina Liu)、キム・シュイ(Kim Shui)、そしてヂョウが選ばれた。3名は、ニューヨークのジェネシス・ハウスで開催されたプライベートイベントにて、プログラム期間を通じて制作したコレクションを披露した。

盤古創世神話から着想を得たコレクション
受賞者のヂョウは、中国・武漢で生まれ、数学とエンジニアリングを学んだのち、ニューヨークの名門デザインスクールであるパーソンズ・スクール・オブ・デザインを2020年に卒業した。卒業後すぐに立ち上げた自身のレーベルは、独創的で彫刻的なシルエットと感情表現の強い造形で注目を集め、若手ながらすでに国際的な存在感を示している。
今回の受賞コレクションは、盤古創世神話からインスピレーションを得ており、各彫刻的作品が起源から変容、そして前進へと至る旅路をたどっている。韓国の月壺を身に纏える形で解釈した作品から、動きの中の誕生を捉えた対照的な色彩の花開き、産業用プロトタイピング技術によって形作られた衣服まで、伝統と革新を融合させ、文化的な系譜を未来志向のデザインへと昇華させている。
ヂョウは受賞に際し、「CFDA|ジェネシス・ハウス AAPI デザイン+イノベーション・グラントの受賞者に選ばれたことを、心から光栄に思います。このプログラムは、イノベーションとはヘリテージを置き換えることではなく、進化させることだという私の信念を肯定してくれました。伝統を”生成の途上”に置きながら、デザインを通して新しい未来を想像していくことだと考えています」と語った。

なお、各デザイナーには、コレクション開発資金としてジェネシスから4万ドルが提供されたほか、ファッション、テクノロジー、ビジネス分野のメンターやアドバイザーへのアクセスが付与された。5カ月にわたるプログラム期間中には、韓国・ソウルを訪れ、文化的背景や価値観に触れる没入型の体験も行われており、これが最終コレクションの重要なインスピレーションとなった。
総額10万ドルの支援と展示概要
イベント当日、来場者は完成したコレクションを鑑賞するとともに、各デザイナー本人から制作背景や文化的ナラティブについて直接話を聞く機会が設けられた。ヂョウには、受賞者として追加で6万ドルが授与され、同グラントを通じた支援総額は10万ドルとなった。
ジェネシス・モーター・ノース・アメリカの最高執行責任者であるテドロス・メンギステ(Tedros Mengiste)は、「このプログラムにおいて、各デザイナーがもたらした創造性と文化的視点を目の当たりにできたことは非常に刺激的でした。数カ月にわたり、最終候補者たちは個人的なヘリテージを思慮深いコレクションへと昇華させました。私たちは、彼らがファッション業界で成長を続けていくことを誇りをもって支援します」とコメント。
また、CFDAの最高経営責任者兼プレジデントであるスティーブン・コルブ(Steven Kolb)は、「強いクリエイティブ・アイデンティティと、このグラントの目的を体現する思慮深い視点を提示してくれた、アリナ、キム、テレンスの3名を祝福できることを誇りに思います。彼らの作品は、ニューヨーク・ファッション・ウィークを前に、非常にインスピレーショナルなトーンを示しています」と述べている。
ジェネシス・ハウスという発信拠点
ジェネシス・ハウスは、ニューヨークのミートパッキング・ディストリクト中心部に位置するライフスタイル空間だ。韓国文化やコミュニティ、食、建築、テクノロジーから着想を得た体験を提供し、ショールーム、レストラン、セラーステージで構成されている。大胆なデザインと先進的な機能性、そして韓国的美意識を通じて、ジェネシスのブランド哲学を体現する場として位置づけられている。
なお、今回発表されたコレクションは、2月22日までジェネシス・ハウスにて展示される予定である。
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