EU、シーイン(Shein)をデジタルサービス法違反の疑いで正式調査へ

Shein

欧州委員会は、デジタルサービス法(Digital Services Act/DSA)に基づき、中国発のオンライン小売企業シーイン(Shein)に対する正式手続きを開始した。調査対象は、違法商品の販売、レコメンドシステムの透明性の欠如、そしていわゆる「依存性のある設計(addictive design)」である。

今回の決定は、シーインが提出したリスク評価報告書の予備分析、欧州委員会による複数回の情報提供要請への回答、ならびに第三者から提供された情報を踏まえたものだ。欧州委員会は2024年6月28日、2025年2月6日、2025年11月26日の3度にわたり、同社のDSA遵守状況について追加情報を求めてきた経緯がある。

違法商品の販売体制を検証

調査の第一の焦点は、EU域内での違法商品の販売を制限するためにシーインが構築しているシステムである。問題視されているのは、児童を想起させる性的玩具や違法な武器の販売事例だ。これらは、児童性的虐待に該当する可能性のあるコンテンツを含むと指摘されている。

欧州委員会のテック主権・安全保障・民主主義担当エグゼクティブ・バイスプレジデント、ヘンナ・ヴィルックネン(Henna Virkkunen)は声明で次のように述べている。

「EUでは、違法商品は禁止されている。店頭に並んでいようと、オンラインマーケットプレイス上であろうと同じである。デジタルサービス法(DSA)は、消費者の安全と福祉を守り、利用しているアルゴリズムについての情報を提供することで、消費者に力を与えるものである。」

また、EU高官は次のようにも述べている。

「シーインのシステムは違法商品の販売を回避するように構築されていない疑いがある。違法商品は依然として多数存在しており、何かが機能していない可能性が高い」

依存性デザインとウェルビーイング

第二の焦点は、サービス設計に内在する依存性リスクだ。具体的には、ポイント付与や報酬制度、ゲーミフィケーションといったエンゲージメント強化施策が、ユーザーの精神的健康やオンライン上の消費者保護に悪影響を及ぼす可能性があるとされる。

オンライン小売プラットフォームの“依存性デザイン”をめぐる調査は、2024年末にテム(Temu)に対して開始された調査に続く事例となる。EUは、デジタル空間における行動設計が消費者保護の観点からどのような影響を及ぼすかを重視している姿勢を鮮明にしている。

レコメンドシステムの透明性

第三の焦点は、レコメンドシステムの透明性である。DSAでは、主要なパラメータの開示に加え、プロファイリングに基づかない少なくとも1つの容易に利用可能な代替オプションの提供が義務付けられている。

しかし、EUの予備調査では、シーインの説明は「非常に一般的な形」にとどまっていたとされる。EU当局は、アルゴリズムの設計と情報開示のあり方が、消費者の選択権や情報アクセスの透明性を十分に担保しているかを精査する方針だ。

シーインの対応と今後

シーインは、DSA上の義務を真剣に受け止めており、欧州委員会およびアイルランドのデジタルサービス調整機関コイミシウン・ナ・メアン(Coimisiún na Meán)と全面的に協力していると表明している。

同社は声明で次のように述べている。

「ここ数カ月にわたり、DSAへの適合を強化するため大幅な投資を行ってきました。これには包括的な体系的リスク評価および緩和フレームワーク、若年ユーザー保護の強化、安全で信頼できる利用体験を促進するサービス設計の継続的な改善が含まれます。」

欧州委員会は、正式手続きの開始は最終的な結論を予断するものではないとしている。一方で、DSA違反が認定された場合、企業の全世界年間売上高の最大6%に相当する制裁金が科される可能性がある。最終手段として、EU域内での販売停止措置も排除されていない。

なお、同件はフランスにおける個別の法的手続きや、消費者保護当局、ならびに一般製品安全規則(GPSR)に基づく市場監視とは別個であり、補完的な枠組みのもとで進められているものである。

デジタルプラットフォームの責任が一層問われる時代において、シーインのケースは、越境ECとアルゴリズム主導型コマースの在り方に対するEUの姿勢を象徴する事例となりそうだ。

Copyright © 2026 Oui Speak Fashion. All rights reserved.