パリを拠点とするメゾン、アライア(ALAÏA)が、Winter Spring 26キャンペーンを発表した。撮影を手がけたのは、ファッション史において最も影響力を持つ写真家のひとりとして知られるスティーブン・マイゼル。
創設者アズディン・アライア(Azzedine Alaïa)が築き上げ、現クリエイティブ・ディレクターのピーター・ミュリエ(Pieter Mulier)へと受け継がれてきた、写真界を代表する才能たちとのコラボレーションの伝統を、今回もしっかりと継承するものだ。
ノイズを排除し、美しさのみを追求
今回のキャンペーンビジュアルは、コレクション自体の哲学を礎に、削ぎ落とされた彫刻的かつ力強い表現へと昇華されている。舞台の潔さ、装飾の排除、そして単一の構図を意図的に反復するアプローチによって、身体と衣服がイメージの中心へと据えられる構成だ。
ミュリエの言葉を借りれば、その簡潔さと正面性は「意図的な過激さ」をもたらすもの。「そこにノイズはなく、ただ美しさのみが存在する」という姿勢が、一貫してビジュアル全体を貫いている。
メゾンとの歴史的な結びつきを持つ彫刻的言語は、今回のキャンペーンにおいて彫像的な表現へと変容。身体をひとつの彫刻として扱い、それぞれのイメージがまるで絵画のような存在感を放つ。根源的な簡素化こそが、永続性への到達手段であるという思想の体現だ。
新世代モデルによる多様なキャスティング
この妥協なき姿勢はキャスティングにも貫かれており、ヴァネッサ・ベッカー(Vanessa Becker)、ヌール・カーン(Noor Khan)、イアスミン・シルバ(Iasmin Silva)、ジャーホイ・ジャン(Jiahui Zhang)、そしてダニエル・キュリー(Danielle Curie)という新たな世代を代表する顔ぶれが起用されている。その多様性は、アライア自身の本質を映し出すものだ。

また、グスターヴ・ラドマン(Gustave Rudman)が手がけたウィンタースプリング26コレクションのショーのサウンドトラックは、キャンペーン映像にも引き継がれ、同じ雰囲気とリズムを動的な表現へと拡張。ランウェイとキャンペーンの世界観を一体化させている。
「記憶に残ることを意図されたイメージ」
単なるキャンペーンにとどまらず、今回の一連の写真はイメージメイキングの行為そのものであり、ほぼ工芸の域にあるといえる。
「記憶に残ることを意図されたイメージ。リアリティではなくクオリティを追求したイメージ。夢へと誘うために作られたイメージ」——そうした価値観のもとで制作されたビジュアルたちだ。
ファッションが刻む瞬間は、時代を超えた普遍性によって定義される。それは、マイゼルの作品も、アライアも同様である。
歴史との共鳴、彫刻的身体、そして永続性への志向。Winter Spring 26キャンペーンは、そうしたアライアの本質をあらためて可視化するプロジェクトなのだ。

Copyright © 2026 Oui Speak Fashion. All rights reserved.
新世代モデルによる多様なキャスティング