2026年、アントワープのMoMu(MoMu – Fashion Museum Antwerp)が「アントワープ・シックス(Antwerp Six)」に捧げる初の大規模展覧会を開催する。同展は、1986年のロンドン「ブリティッシュ・デザイナー・ショー(British Designer Show)」を契機に世界的評価を確立した6名のデザイナーたちが、いかにしてグローバルファッションの潮流を変えたのかを検証する試みである。
この歴史的機会にあわせ、アントワープ発のジュエリーブランド、ウッターズ&ヘンドリックス(Wouters & Hendrix)が、自らの歩みとシックスとの関係性を改めて提示する。
1986年から続く交差
カトリン・ウッターズ(Katrin Wouters)とカレン・ヘンドリックス(Karen Hendrix)は、1984年にブランドを創設。1986年、アントワープ王立芸術アカデミー出身のデザイナーたちがロンドンへ渡ったのと同年、彼女たちもまたジュエリーを携え「ブリティッシュ・デザイナー・ショー」に参加した。
その後数十年にわたり、アントワープという都市の創造的コミュニティの中で両者は幾度も交差。ウッターズ&ヘンドリックスは、アントワープ・シックスのランウェイショーに向けたジュエリーやアクセサリー制作を依頼されるなど、密接な関係を築いてきた。
近年では、メリル・ロッゲ(Meryll Rogge)の2026年春夏コレクションに向けたジュエリーを手がけるなど、ベルギーの次世代デザイナーとの協働も継続している。
アーカイブとアイコンの再提示
展覧会開催にあわせ、MoMuから徒歩圏内に位置する同ブランドのブティックでは、アントワープ・シックスのために制作されたアーカイブピースと、ブランドを象徴する代表作が展示される。
代表的なデザインには、「グリグリ・バードクロー(Grigri bird claw)」、「チャプターズ・リング(Chapters rings)」、「ムール(Mussel)」、「エンブレイス(Embrace)」が含まれる。これらの作品は、ユーモアと矛盾への愛着、アトリエでのハンドクラフト、そして多層的な物語性という同ブランドの精神を体現する存在である。1980年代に芽生えたシュルレアリスムの要素は、現在もなおブランドの視覚言語の核であり続けている。
ベルギーの象徴を纏う限定モデル
今回、ベルギーという共通のルーツへのオマージュとして、新たな限定アイテムも発表される。ムール貝型の「キャッシュ・クレ(Cache-Clés)」を、ベルギー国旗の赤・黒・黄のトリコロールで再解釈した限定エディションである。
同アイテムは、2026年3月28日よりアントワープのMoMuショップにて独占販売される予定だ。
クラフツマンシップとサプライズ
1984年創業のウッターズ&ヘンドリックスは、クラフツマンシップと意外性の融合を掲げ、伝統的なジュエリー制作の枠組みに揺さぶりをかけてきたブランドである。アントワープのアトリエで一点一点ハンドメイドされるその作品は、シュルレアリスム的象徴性と現代的感性を結びつける。
アントワープ・シックス展という歴史的回顧の機会において、同ブランドの歩みは単なる周縁的存在ではない。1986年という転換点を共有した創造的パートナーとして、ベルギーファッションの物語を補完する存在である。

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