マーティン ローズ(Martine Rose)、2026年秋冬コレクションの生産を中止 「長期的成功」を優先し異例の判断

Martine Rose

3月4日(現地時間)、ロンドン拠点のブランド「マーティン ローズ(Martine Rose)」が2026年秋冬コレクションの生産を中止したことが明らかになった。米ファッションメディアWWDの報道によると、理由は「自らのコントロールを超えた事情」によるものとされ、現時点で詳細は明かされていない。

ローズは声明で次のように述べている。

「今シーズンの生産オーダーをキャンセルするという、前例のない決断を下さざるを得ませんでした。これは私自身とチームにとって非常にフラストレーションの大きい出来事です。特に、直近のセールスシーズンが成功に終わった直後であることを考えると尚更です。しかしながら、ブランドの長期的な成功を守るためには、こうした思い切った措置が必要でした。」

さらに、現時点では追加説明ができないとしながらも、支援への感謝と今後への意欲を次のように語っている。

「この決断を下さなければならなかったことに、当然ながら悲しみと失望を感じています。それでも、世界中の取扱店舗、顧客、友人たちから大きなサポートを受け続けており、心から感謝しています。この過渡期を越え、私たちのビジネスにより明るい未来が訪れることを楽しみにしています。」

WWDによると、2026年秋冬コレクションは、ホットピンクのファー、ダークデニム、フロック加工のトラウザーズ、コルセット風ステッチを施したジャケット、ドレスシャツとランジェリーの要素を融合させたデザインなど、装いの快楽性を強く打ち出した内容だったという。

ローズは同コレクションの世界観について、次のように語っている。

「私たちなりの視点で捉えた退廃的な世界観。90年代のクラブウェアと古き時代の豪奢さをミックスしたもの」

「着飾り、自己表現を楽しむこと」

インスピレーション源として挙げられたのは、ヘンリー8世、ジェームス・ブラウン、そして英国のボクサーとして知られるプリンス・ナジームといった、強い個性と誇示的なスタイルで知られる人物たちである。さらにローズは今季の制作姿勢として、「服そのものに立ち返ること。シルエットに集中し、ドラマ、ロマンス、そしてユーモアを生み出すこと」という次の目標も掲げていた。

今回の決断を理解する上では、ブランドを取り巻く生産・流通環境の変化も無視できない。ファッション誌ヴォーグ(Vogue)は過去の取材で、ブレグジットをめぐる不確実性を背景に、マーティン ローズが英国から欧州へ生産拠点を移す可能性を検討していたと報じている。

また、経営面では2021年にブランド支援企業トゥモロー(Tomorrow)がマーティン ローズの過半数株式を取得。トゥモローはブランドの国際展開や卸売ビジネスを支援する企業として知られるが、同社は2022年、ブレグジットに伴う物流上の課題を背景に、本拠地をロンドンからミラノへ移転している。

国境をまたぐ生産・物流体制は、ブランドの成長とともに複雑化する領域である。外部環境の変化によって供給や流通の前提が揺らぐ局面では、「作ること」そのものの再設計が必要になる場合もある。

現段階で、今回の生産中止が具体的に何に起因するのかについて、ローズは「これ以上の詳細は明かせない」としている。だが、成功した受注シーズンの直後に生産のみを停止するという判断は、短期的な販売機会よりもブランドの長期的な安定を優先した緊急措置とも読み取れる。

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